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2007年08月22日(水) 19時57分

迷惑メール、規制強化へ 承諾ないもの一律禁止 総務省朝日新聞

 宣伝目的の電子メールをパソコンや携帯電話に一方的に送りつける「迷惑メール」の規制強化に総務省が乗り出す。受信者の承諾のない送信を一律禁止する方針で、特定電子メール送信適正化法(迷惑メール規制法)の改正案を来年の通常国会に提出する考えだ。

医薬品の違法販売など急増する迷惑メール。海外発も多く、対策強化には国際的な協力も必要となる

 国内発の迷惑メールは約9割が出会い系サイトの宣伝とみられ、迷惑メールを端緒にした児童買春が社会問題化している。最近はパソコン向けの迷惑メールの比率が急増。その大半は海外発で、バイアグラの違法販売の広告が最も多い。

 02年に施行された迷惑メール規制法は、受信者の同意なしにメールを送る場合、表題に「未承諾広告※」と記し、受信拒否を通知できる連絡先を書き込むことを義務づけた。受信拒否を通知した人への再送信も禁じた。

 さらに05年の改正で、送信者情報を偽った迷惑メールの発信者に対し、行政処分を経ずに直接刑事罰を科せるようにしたが、摘発に至った例はわずか3件しかない。送信者情報が偽られていると、そもそも送信元の特定が難しいためだ。

 送信手法も巧妙化しており、「現行法の規制は形骸(けいがい)化している」との指摘も出ていた。このため総務省は規制の実効性を高める必要があると判断し、事前に受信を承諾していない相手に宣伝目的のメールを送ることを違法とする方針を固めた。

 総務省は先月、迷惑メールの規制強化策を検討する研究会の初会合を開き、通信事業者や学識経験者らが具体策の検討に着手した。研究会では、「宣伝メール送信の承諾を得るために送るメールも違法なのか」といった疑問も出ており、細部の線引きや罰則強化の是非などを議論する。研究会が年内にまとめる中間報告を踏まえ、法改正に向けた作業を進める。

 金融機関などからのメールを装って偽のホームページに誘導し、個人情報を盗み取る「フィッシング詐欺」も規制の対象に加える方針だ。法規制の対象外である海外からの迷惑メールを防ぐための国際協調策についても研究会で検討する。

http://www.asahi.com/life/update/0822/TKY200708220294.html