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2007年08月22日(水) 14時42分

阪急交通社子会社、派遣添乗員の健保・厚生年金に加入せず読売新聞

 大手旅行会社「阪急交通社」が企画する旅行に添乗員を派遣する同社100%出資子会社「阪急トラベルサポート」(本社・大阪市北区)が、正社員並みに働く50人以上の派遣添乗員を厚生年金保険と健康保険に加入させていないことが、22日、わかった。

 大手旅行会社の旅行添乗員は別会社からの派遣が主流。サポート社は、旅行ごとに、短期の雇用契約を結び、阪急交通社に添乗員を派遣している。阪急交通社企画の旅行での添乗を10年以上続けている者もおり、厚生年金保険法や健康保険法に違反している可能性もある。大阪社会保険事務局は一部添乗員から申告を受け、加入義務のあるケースがあるとみて、近く、サポート社の就労実態を調査する方針。

 サポート社は読売新聞の取材に「9年前に社会保険事務所から『加入義務はない』との説明を受けた」と話している。これに対し、大阪社会保険事務局は「9年前の指導の有無は記録が残っていない」とした上で、「同じ派遣会社に雇用され、同じ派遣先で連続して同じ業務に従事している場合、実態は継続雇用で加入義務がある」としている。

 サポート社は正社員約230人だが、正社員は管理職か事務職のみ。約780人の派遣添乗員が登録され、阪急交通社企画の旅行の半数にこの登録添乗員を派遣している。厚生年金、健康保険に加入させている添乗員はいない。添乗員は、旅行期間に限った短期雇用契約を結んで派遣される。期間は海外旅行なら7〜10日が多く、国内旅行なら最短、日帰りもある。サポート社は、阪急交通社から支払われる派遣料から、日当計算で給与を支給している。

 両法によると、短期契約でも繰り返して2か月以上勤務し、1日の勤務時間、1か月の勤務日数とも正社員の4分の3以上の場合、派遣会社に加入させる義務がある。

 サポート社は「ツアーごとの契約で継続雇用ではなく、加入要件を満たしていない」と判断、勤務実態を調べていないという。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070822i406.htm