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2007年08月22日(水) 12時52分

<CIA内部報告>元長官の責任追及 米同時テロ防止できず毎日新聞

 【ニューオーリンズ(米南部ルイジアナ州)和田浩明】米中央情報局(CIA)のヘイデン長官は21日、米同時多発テロ(01年9月11日)発生前の対テロ情報収集・分析体制を評価した内部監察報告書の要約版を公表した。報告書は国際テロ組織「アルカイダ」に関する情報収集などが不十分でテロを未然に防止できなかったと当時のテネット長官ら幹部を批判し、外部委員会による責任追及を勧告していた。
 報告書は05年6月にまとめられた。極秘扱いにされてきたが、今月成立したテロ対策関連法によって要約版(19ページ)の機密指定が解除された。
 報告書はテネット元長官らが「責任を満足な形で果たさなかった」と明言。具体的には対テロ活動の優先順位を十分に引き上げず、アルカイダの追跡・掃討作戦の立案や実施にあたり、CIA部内や他の米情報機関との情報共有や連携が不十分だったと分析した上、対テロ予算を「関係のない別の活動に振り向けた」などと指摘した。
 さらに、問題の一部は「組織的なものだった」と認定し、外部の独立委員会を設置してテネット氏らCIA幹部の対応をさらに見直し責任を追及するよう勧告している。
 また、同時多発テロを計画立案したとされるハリド・シェイク・モハメド被告が米国に工作員を送り込もうとしているとの「信頼できる情報」を00年に米情報機関がつかんでいたことも明らかにした。
 一方で、同時多発テロを事前に察知し、予防する有効な対策も存在しなかったと指摘。CIA関係者による違法行為などは存在しなかったと結論付けた。
 報告書がまとめられた当時のゴス長官は勧告を受け入れず、ヘイデン現長官も同方針を維持している。
 AP通信によると、テネット元長官は報告書の内容を「まったく間違っている」と批判。「テロと戦うしっかりした計画が9・11以前からあったからこそ、テロ直後の15日に大統領に対策を進言できた」と反論した。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070822-00000035-mai-int