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2007年08月20日(月) 19時58分

<東京電力>お盆休み明けで電力需要警戒毎日新聞

 新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原子力発電所が停止した東京電力は20日、猛暑が予測されている21日の電力需要に備え、データ改ざんなどで運転休止していた塩原水力発電所(出力90万キロワット、栃木県那須塩原市)を緊急に運転する準備に入ったと発表した。お盆休みで休業していたオフィスや工場が20日に本格操業を始めたことから、電力需要が急増しており、電力不足で停電に陥らないよう万全の体制を取る。今後記録的猛暑がぶり返せば、綱渡りの供給体制になる可能性があるため、東電は大口需要家などにさらなる節電を呼びかけている。【内山勢】
 20日の東京の日中の最高気温は35.9度で猛暑日になった。冷房機器がフル稼働したことに加え、大口需要家の工場などが再び操業を始めたため最大電力は5938万キロワットと、8月10日に記録した今夏一番の最大電力5951万キロワットに次ぐ2番目の電力需要となった。。この日の供給力は6170万キロワットで、232万キロワットの予備力があった。
 21日の最大電力は6000万キロワットと想定。これに対し、供給力は塩原水力発電を除いて6220万キロワットを確保。それでも足りない場合は、塩原発電を緊急稼働する。既に国土交通省の許可を得ている。
 東電は、過去10年間の最大電力発生日における最高気温の平均を勘案し、8月の平均需要を6110万キロワットと想定。供給力は、柏崎刈羽原発の停止で711.2万キロワット(定期検査中の1号機を除く)の供給ができなくなったため、他電力会社から融通(166万キロワット)を受け、火力発電所をフル稼働(208万キロワット)。さらに、20日から予定していた福島第一原子力発電所の3号機(出力78.4万キロワット)の定期検査を31日に延期するなどして、平均6275万キロワットを確保した。また、塩原水力発電の90万キロワットと合わせ、電力不足の緊急時に備えている。
 しかし、今後も35度を超える猛暑日が全国的に続いた場合、他電力からの融通も厳しくなる。同社の過去の最大電力は6430万キロワット(01年7月24日)で、記録的な猛暑となれば、現在の予備力では不足する可能性がある。
 このため東電は、緊急時に、工場などの大口需要家1250社と結んでいる「随時調整契約」を発動、操業停止などの協力を要請する措置を取ることにしている。同契約は最大127万キロワット(推定)の節電を想定している。同契約が発動されれば90年以来17年ぶりとなる。
 ◇節電求め経産相が談話
 東京電力の電力供給が正念場を迎えていることを受け、経済産業省は20日、産業界に改めて節電を求める甘利明経産相の談話を発表した。
 「当面の気象予報を大きく上回る気温上昇があれば需給が逼迫(ひっぱく)する恐れがある」として、東電に需給両面で対策を取るよう求めたうえで、産業界に節電を要請した。広く一般にも節電を呼びかけている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070820-00000080-mai-bus_all