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2007年08月20日(月) 23時25分

お盆休み明け電力需要急増、東電は必死の節電呼びかけ読売新聞

 多くの工場やオフィスのお盆休みが明けて本格稼働を始めた20日、全国的に冷房用などの電力需要が急増した。

 新潟県中越沖地震で柏崎刈羽原子力発電所の運転が停止している東京電力では、午後3時に今夏2番目となる最大電力需要5938万キロ・ワットを記録した。中部電力では過去最高を更新したほか、関西、四国電力でも今夏の最高を塗り替えた。

 東電は、臨時の措置で何とかしのいでいるが、首都圏では8月末にかけて猛暑が予想され、最高電力需要を更新する可能性がある。気温に左右される「綱渡り」の状態がなお続きそうだ。(豊田千秋)

 休み明けの20日、東京・大手町の最高気温は35・9度の猛暑日となった。5938万キロ・ワットは8月10日に次ぐ高水準で、東電が20日準備した6170万キロ・ワットの供給力までわずか232万キロ・ワットに迫った。

 東電によると、経験則では、30度を超えてから気温が1度上昇するごとに、電力需要が170万キロ・ワット増えるという。20日も、最高気温があと2度高ければ、供給力を上回った計算だ。

 東電では、火力や水力発電所の出力増加や電力6社からの電力融通に加え、工場の自家発電で余った分を買い取るなどして電力供給力を増やした。20日からの予定だった福島第1原発3号機(福島県、出力78・4万キロ・ワット)の定期検査も、31日に延期して運転を続けることで、供給電力を計485万キロ・ワットを積み増した。しかし、フル操業しても、6265万キロ・ワットまでしか供給できず、余裕はあまりない。

 猛暑で需要が急増し、供給力が追いつかなくなった場合の手段は二つある。

 一つは、データ改ざんなどで水利許可が一時取り消された水力の塩原発電所(栃木県那須塩原市、出力90万キロ・ワット)の再稼働だ。東電は20日、21日の最大電力需要が6000万キロ・ワットに達すると予測し、同発電所の揚水を始めて緊急時の使用に備えると発表した。

 もう一つは、電気の利用を減らすよう企業に依頼できる「需給調整契約」に基づく措置だ。東電は万一の時に、大口の利用者である工場や百貨店など約1250の顧客を対象に、計127万キロ・ワット分の節電を要請できる契約になっており、1990年夏には4回、契約に基づく要請が行われたこともある。

 東電はこれら最後の手段をとらなくて済むように、営業担当者が契約電力500キロ・ワット以上の約1万2500の大口需要先を訪れ、冷房の設定温度を高めにするよう依頼した。テレビCMやインターネット、チラシの戸別配布でも節電を呼びかけている。

 甘利経済産業相は20日、東電の電力不足の懸念が高まっているとして、「予報を大きく上回るような気温上昇などがあれば、(電力)需給が逼迫(ひっぱく)する恐れもある。産業界に節電の再要請を行いたい。さらに、広く一般の協力が必要」との節電を呼びかける談話を発表した。

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20070820i315.htm