記事登録
2007年08月15日(水) 20時49分

次官人事先送り、小池防衛相が不満表明…首相は混乱憂慮読売新聞

 防衛省の次官人事をめぐって小池防衛相と守屋武昌防衛次官が対立している問題は15日、首相官邸を巻き込んで余震が続いた。

 安倍首相は同日、記者団に「現在の状況は、大臣がしっかり統率していかねばならない」と述べ、同省内の混乱を憂慮する姿勢を示した。

 小池氏は同日の閣議後の記者会見で、「(省内の)士気の低下を懸念している。早く決めた方が国民を守る責務が果たせる」と述べた。人事の決定が27日予定の内閣改造後に先送りされたことに強い不満を示したものだ。小池氏はさらに「私は何も手順を間違えていない」とも述べ、人事手続きに問題はないと強調した。

 また「(守屋氏は)携帯電話で電話しても返事は翌朝で、危機管理上どうかということがこれまでもあった」と述べ、守屋氏への不信感もあらわにした。

 これに対し、塩崎官房長官は記者会見で、防衛次官人事を決める閣議人事検討会議の時期について、「内閣改造後でいいと、小池氏も言っていると聞いている。そもそも防衛次官から正式に(人事案の)書類が上がってきていない」と述べ、小池氏の不満に取り合わない姿勢を示した。

 塩崎氏はさらに、「人事検討会議は省庁で独断人事などが行われないよう、官邸主導、政治主導で人事を行うために導入された」と述べ、小池氏の手法は適切でなく、官邸主導の決定が損なわれるとの懸念も示した。

 一方、守屋氏も同日、首相官邸で的場順三官房副長官と会談するなど、対応に動いた。小池氏からの批判には「深夜に携帯電話で突然退任を通告しようという手法は、普通の手続きではない」と、周囲に不満を漏らしている。

 この問題で、閣僚からは「人事をされる側が人事について何か言うのは変だ」(尾身財務相)などの指摘が記者会見で出るなど、守屋氏の対応にも問題があるとの声も出た。

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070815it14.htm?from=top