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2007年08月15日(水) 10時46分

<イラク>北部で車の自爆テロ、175人死亡 過去最悪規模毎日新聞

 【カイロ高橋宗男】イラク北部モスル西方のシリア国境に近いシンジャル近郊3地区で14日夜、燃料を積んだ複数のトラックがほぼ同時に爆発した。地元警察によると少なくとも175人が死亡、200人以上が負傷した。ロイター通信が伝えた。少数派ヤジディ教徒を狙ったイスラム教スンニ派武装勢力による自爆テロとみられる。イラクで一度に発生したテロとしては、過去最悪規模のテロとなった。
 ヤジディ教はイスラム教以前から存在する原始宗教で、イラクやシリアのクルド人らの一部が信仰している。
 モスルやシリア国境に近い地域は、国際テロ組織アルカイダ系のスンニ派武装勢力で組織する「イラク・イスラム国」が実効支配している。今年4月にヤジディ教からイスラム教に改宗した少女の「名誉殺人(親族による殺人)」が起きたことを機に、スンニ派武装勢力によるヤジディ教徒への攻撃が頻発していた。
 AP通信によると、「イラク・イスラム国」は今月上旬にシンジャルなどで「反イスラムのヤジディ教に対する攻撃が目前に迫っている」とのビラをまいていたという。
 一方、イラク駐留米軍が14日未明からバグダッド北東のディヤラ県でスンニ派武装勢力の大規模掃討作戦を開始したのに対し、武装勢力側がシンジャルでの同時テロで攻撃能力の誇示を狙ったとの見方もある。
 米軍のディヤラでの作戦は、県都バクバで過去数週間継続してきた作戦を拡大したもので、バクバを逃れた武装勢力の掃討が狙いとされる。スンニ派武装勢力は過去にも作戦地域から逃れ、周辺部で組織を再構築してきた経緯がある。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070815-00000023-mai-int