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2007年08月11日(土) 09時56分

備品2500万円分無償提供 東北大入札逃れ朝日新聞

 東北大学(仙台市)が大学病院の手術室新設工事で入札せずに随意契約していた問題で、工事費の一部の1100万円を負担した医療機器販売会社が、この手術室の備品の多くや別の手術室の眼科用医療機器、計約2500万円相当を病院に無償で提供していたことが10日、わかった。公正取引委員会が認定した公正競争規約を運営する「医療機器業公正取引協議会」は、規約に違反する疑いがあるとしている。

 東北大学病院(同市)によると昨年6月、医療機器販売会社「ヤマト樹脂光学」(東京都千代田区)から「医療の発展に貢献するため」として超音波白内障手術装置(2300万円相当)の寄贈を受けた。また工事完了後の今年1月ごろから、新設手術室の備品約20点(計240万円相当)を同社から「治療環境整備の一助のため」と寄贈されたという。

 寄贈された備品には、眼科用手術台、医療機器部品のほか、机やいす、患者用の上ばき入れ、ロッカーやオーディオ機器、DVDレコーダーなども含まれていた。

 同社の元幹部は朝日新聞の取材に「備品類は工事費と同じように、大学の予算を超えた分をこちらで負担した。大学との取引を有利に進めるためだった」と話す。大学と同社との取引は昨年4月に始まり、大学は今年6月までに1億3000万円相当の医療機器や消耗品を購入している。

 同社も加盟する同協議会によると、取引業者からの物品の無償提供は不当な取引を助長する恐れがあり、景品表示法に基づいて定められた医療機器業公正競争規約で原則的に禁じている。協議会は「事実だとすれば、工事費の負担も含めて規約違反だ」としている。

 同社の担当者は「教授を応援したいという思いで寄付したもので、今後の取引を意図したわけではない。だが規約に対する認識は十分ではなかったかもしれない」と説明。病院は「今後は公正競争規約の基準を踏まえ、寄付受け入れが適切かどうかを検討していく」と見直しの意向を示した。

http://www.asahi.com/national/update/0810/TKY200708100425.html