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2007年08月10日(金) 12時34分

耐震偽装事件、木村建設元社長に有罪判決…詐欺罪も認定読売新聞

 耐震強度偽装事件で詐欺と建設業法違反の罪に問われた「木村建設」(熊本県、破産)の元社長・木村盛好被告(75)の判決が10日、東京地裁であった。

 角田正紀裁判長は「ホテルを利用する不特定多数の生命、身体の安全を何ら顧みず、落ち度のない施主に損失を転嫁した。建築業者としての最低限の資質を欠いた悪質な犯行」と述べ、懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役5年)の有罪判決を言い渡した。

 これにより、耐震強度偽装事件に絡んで起訴された6人のうち、元1級建築士・姉歯秀次被告(50)(控訴中)ら5人に有罪判決が言い渡された。

 判決によると、木村被告は2005年10月、開発会社「ヒューザー」(東京都大田区、破産)の元社長、小嶋進被告(54)から、木村建設の元東京支店長を通じて、同建設が施工したサンホテル奈良(奈良市)の耐震強度が不足しているとの報告を受けながら、ホテル側に伝えずに代金の一部2億2500万円をだまし取った。

 弁護側は、詐欺罪について、「木村被告は姉歯被告による構造計算書の改ざんを知らなかった」と無罪を主張したが、判決は「木村被告は、遅くとも小嶋被告からの連絡があった時点で、姉歯被告による改ざんを把握し、ホテルの安全性が確認されていないと認識していた」と退けた。その上で、「部下が代金を請求することを止める義務を果たさなかった」と述べた。

 ただ、判決は「一連の事件で最も非難されるべきは姉歯被告」とし、木村被告のコスト削減を追求する姿勢が姉歯被告の改ざんを助長したとする検察側の主張を否定した。

 一方、特定建設業の許可を得るために粉飾した決算書類を国に提出した建設業法違反(虚偽申告)については、「組織的に粉飾決算がなされており、最高意思決定者である被告に最も重い責任がある」と指摘した。

 執行猶予を付けた理由については、「会社が破産するなど社会的制裁を受けている。木村被告は積極的にだまそうとしたわけでもない」と述べた。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070810i105.htm