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2007年08月07日(火) 03時04分

<長勢法相>相談役の団体から「ビザ照会謝礼献金」受領毎日新聞

 長勢甚遠法相(衆院富山1区)の地元事務所が昨年9月ごろ、法相が相談役を務める外国人研修生の受け入れ団体「富瀋(とみしん)国際事業協同組合」(富山市、中田幸男理事長)から、研修生の査証(ビザ)について法務省などに問い合わせた謝礼として50万円の献金を受けていたことが分かった。法相側は、毎日新聞が富瀋などを取材した今年6月以降に「入管行政をつかさどるトップとして誤解があってはいけない」として返金し、相談役も辞任した。【外国人就労問題取材班】
 複数の組合幹部によると、法務省入国管理局から在留資格認定証明書を取得しながら、外務省の在中国公館からビザの発給を受けられない研修生が十数人いたため、昨年8〜9月、地元の松田勝人秘書に「どういう理由なのか」と確認を依頼。事務所が入管や外務省に問い合わせた結果、中国側にミスがあったことが分かった。入国はできなかったが、組合幹部は「いろいろ動いてもらったお礼がしたい」と秋ごろ事務所を訪れ、松田秘書に50万円を渡した。
 しかし、本紙が中田理事長らに献金の取材を始めた今年6月から7月初旬、松田秘書から組合に「何もなかったことにしよう」と申し出があり返金された。献金を証明する領収書を事務所から受け取っていたが、返したという。また、法相は富瀋設立の98年5月から相談役に就任していたが、「大臣等規範」に規定されている首相への届けがなかったことなどから辞任の申し出があり、組合は了承した。
 松田秘書は、現金を受け取った時期は「法相就任(昨年9月26日)前で、返金は参院選公示前の6月ごろだったと思う」と説明。今年3月末までに提出した昨年の政治資金収支報告書(9月下旬公開予定)を返金した際に修正したという。富瀋の依頼については「うちの事務所が名古屋(入管)に問い合わせたと思うがよく覚えていない。献金したいと言われたので、安易に受け取ってしまった。すべて私が処理し法相は知らない。返金は、法相に報告した」と話す。長勢法相は松田秘書を通じ「返金の報告を受けたかどうかもよく覚えていない」と回答している。
 相談役について松田秘書は「大臣就任時に、富瀋に外すよう言ったのに、残っていたので辞任した」と話している。
 長勢法相は旧労働省出身で現在6期目。05年10月に内閣官房副長官、昨年9月、安倍内閣で法相に就任した。92年に外国人研修・技能実習制度を提言した自民党検討委員会のメンバーで、今年5月には、厚生労働、経済産業省が改善案を発表した直後に、単純労働を事実上認める私案を発表していた。
 富瀋は研修生を受け入れるための異業種協同組合。富山、石川、岐阜、新潟各県の製造、建設業者などの132社が加盟し富山では最大規模。昨年までに約900人の研修生を受け入れた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070807-00000007-mai-pol