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2007年08月07日(火) 13時19分

<栃木・容疑者自殺>警察1時間確認せず 畳の下に遺書毎日新聞

 栃木県さくら市の保険金目的の殺人事件で、妻を殺害した容疑で県警捜査本部に再逮捕された自動車修理販売業、小林広容疑者(58)=同市早乙女=が6日夜、拘置中の宇都宮中央署内で首つり自殺した問題で、同署が弁護人の接見後、1時間余りにわたって小林容疑者の様子を確認していなかったことが分かった。一方、小林容疑者の弁護人の松本勝弁護士は同容疑者が留置場の畳の下に残していた遺書を公開した。物置兼住宅の放火や、妻の殺害、次男の転落死について「私は潔白です」などと記し、疑惑を全面否定している。
 県警留置管理課によると、小林容疑者は6日、朝食後の午前8時31分から同署3階の面会室で松本弁護士と接見。昼食をはさみ午前と午後の2回、取り調べを受け、午後7時46分から再び、同弁護士と接見した。午後9時5分ごろ、同容疑者の取り調べ担当者が「午後9時から再開したいが、本人の確認を取ってほしい」と言ったため、看守が面会室内を確認、同9時16分、遺体を見つけたという。
 弁護士が午後8時過ぎに帰った後、1時間以上にわたり、面会室に小林容疑者を1人にした理由について、県警は「普段は小林容疑者から看守に声を掛け、面会終了を知らせてきたが、この日はなかった」と説明した。
 接見は通常、15分程度だが、弁護人の場合は制限はなく30分〜1時間。小林容疑者は逮捕以来、計38回の接見を受け、うち25回が自殺時と同じ、執務時間外(午後5時半以降)だった。古川芳巳・同課長は「こういう形で(容疑者が)亡くなるのはあってはならないこと。詳細を検証しなければならないが、残念な結果になった」と話した。
 一方、松本弁護士によると、小林容疑者は6月14日、非現住建造物等放火容疑で逮捕された直後から、「自分の身は自分で始末を付ける。何かあったら(留置場)畳の下を見てくれ」と話していたほか、6日夜も「妻と次男の眠る墓に早く入りたい」と話し、遺書の存在や自殺を示唆していたという。ただ、弁護士は自殺について警察側に具体的な相談をしていなかった。
 一連の保険金目的の事件をめぐっては、小林容疑者以外に会社の部下や知人ら計5容疑者・被告が逮捕、起訴されているが、いずれも「小林容疑者に指示された」「怖くて(指示に)逆らえなかった」などと供述、容疑を認めているという。【山下俊輔、吉村周平】
 小林容疑者が弁護士にあてた遺書の全文は次の通り。(関係者の実名以外はほぼ原文のまま)
 松本弁護士へ
 この度は私の至なる事でマスコミを初め各関係会社 同業者 お客様 知人 友人 そして身内までに大変御迷惑をお掛けて誠に申し訳ありません
 心からお詫いたします。
 1 放火、詐欺について
 私に身に覚えがありません。又、指示もしていません。
 2 子供の転落事故について
 私は潔白です。ベランダでのタコ上げは注意をしています。その日は妻も一緒に会社に居ました。(一日中)又ベランダの台は妻がおいたのです。
 3 妻の自殺について
 私は潔白です。妻は高年期障害の初めでした。又うつ病です。2月なのに体が熱くて薄着でした。
 妻が自殺し夜は(2月27日)私は、夕食を妻と一緒に8時頃済せすぐ事務所に戻り。工場長と仕事の内合せしましました。終りしだい工場長は帰りました(8時40分頃) その後外に出て私は〇〇(長男の名前)にビデオを借りて来れと展示場で頼みました(長男の友だちも)いました。8時45分頃だと思います その後はすぐに氏家町のスナック旅人に行きました。スナック旅人のマスターに前に中古車を買ってもらった事なので たまには行かないと思いましたので行ったのです たぶん9:05分頃に付いたと思います 店に付いてから工場長に今旅人にいるから後で迎えに来てと頼みました 店の中に氏家の理容店のマスターがカンターの奥に居ました(パンチバーマ方でした)又アルバイトの女の子も居たようです その外に3人位お客様が居たようです 11時25分前後に店を出て工場長の来るのを車の中で待っていました
 間違いありません
 小林
 松本弁護士殿 今後について〇〇氏(知人の名前)と良く相談し下さい、頼みます 本当にお世話になります 私は無事です!!
 (注)弁護士によると、「私は無事」とあるのは、「無実」か「無罪」とするところを誤って書いたとみられる。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070807-00000047-mai-soci