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2007年08月06日(月) 00時00分

小売り一筋 決め手は熱意と明るさ読売新聞

 家電量販店とパソコン専門店が入り乱れて価格競争が展開されるパソコンの小売業界。親会社のビックカメラからテコ入れのために乗り込んだソフマップの社長に生き残り戦略を聞いた。

川下でのサポート

野口 進  のぐち・すすむ
ソフマップ社長
1956年生まれ、青森県立田名部高校卒。86年ビックカメラ入社。2003年ビック酒販社長、05年ビックカメラ取締役関連事業部長を経て、06年2月から現職。
——安売りチラシに価格比較サイト。知恵をつけた消費者の安売り要求に応えるのは大変なのでは。

野口 それほどでもありません。昔も今も自分の値引きの要求を通すのは、買物の楽しみの一つなのです。それよりも、親切で丁寧な接客で満足いただければ、お客様は値引きのことなんか忘れて、購入を決めてくれます。これまでに、ずいぶんそんな例を見てきました。価格差が1万円までなら、問題になりません。

——それはビックカメラでの体験に基づくものですか。

野口 ええ。私自身、ビックカメラの渋谷や横浜の店頭で白物家電を売ってきました。コツは、声をかけるタイミングを見逃さず、買いたくなったときに背中を押すことです。それを間違うと、逃げられたり、嫌がられたりします。「つかず、離れず」。この距離感が大切です。そのためには、四方八方にアンテナを張り巡らさないとなりませんが。

——家電量販店のビックカメラとは畑違いのパソコン専門店ですが、厳しい競争をどう勝ち抜きますか。

野口 もう、パソコンのスペックに大差はありません。高齢化時代も考えると、決め手は利用者への支援体制です。かゆい所に手の届くサポートがなければ、生き残れなくなりました。そこまで面倒をみてくれるのなら多少料金が高くてもいい、と思わせる仕組みと体制で、差別化を図ります。メーカーもそれなりのサポートはしていますが、我々は川下でユーザーが求めることを最初に感じられる立場にいます。消費者心理から言っても、何か困ったときにお客様がまず問い合わせる先は、買った店なのです。私どもの「らくらくデジタルサポート100」サービスでは、「メモリ増設」から「データ復旧」まで、100のオプションをそろえています。

——ビックカメラの傘下に入り、仕入れの共有化などで再生を進めていますが。

野口 スケールメリットが出て、仕入れ条件は改善されました。ポイントカードも統合に向けて検討に入っています。何より、「日本一活気ある企業」の傘下に入って社内が明るくなり、店頭に活気が出てきました。スローガンは「明るく元気に」。働く側にとっても、店を訪れる側にとっても、沈んでいる店内よりにぎやかな方がいいに決まっていますからね。

http://www.yomiuri.co.jp/net/interview/20070806nt0c.htm