「フィリピンでのエビの養殖事業に出資すれば１年で倍になる」と出資を促し、実態のない事業で金をだまし取っていたとして、警視庁は３１日、投資会社「ワールドオーシャンファーム」（東京都台東区、黒岩勇会長）の関連先二十数カ所に詐欺容疑で家宅捜索に入った。出資者は約４万人に上り、計約６００億円を集めたとされる。同庁は、同社が集めた金の流れや事業内容を詳しく調べる。
生活経済課の調べや関係者の話によると、同社は０５年ごろから出資者に対し、「フィリピンに東京ドーム４５０個分のエビの養殖場を所有している」と説明。「稚魚で仕入れたエビは３、４カ月で出荷できる。１０倍の利益が見込め、出資額の倍は還元できる」などと勧誘していた。
出資者には１０日に一度、数千円から数万円の配当が振り込まれていたが、今年に入り「税務署の指摘を受け、半年後にまとめて支払う」として、配当がストップ。５月下旬には「台風で養殖場が被害を受けた」などと説明したうえで、事実上経営破綻（はたん）状態であることを認め、「民事再生手続きに入る」と通知してきたという。
同課は、フィリピンでのエビの養殖事業には実態がなく、出資金をだまし取っていた疑いがあるとみて家宅捜索に踏み切った。
http://www.asahi.com/national/update/0731/TKY200707310122.html