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2007年07月31日(火) 09時59分

国民生活センター法改正案 消費者救済へ調査権限朝日新聞

 悪質商法や製品事故などの消費者トラブルをよりスムーズに解決するため、内閣府は、所管する国民生活センターに、業者への出頭や文書の提出を命じられるなどの調査権限を与える方針を決めた。全国に約540ある消費生活センターと連携して消費者の訴えに応じ、個別トラブルの仲介や救済にあたる。国民生活センター法の改正案を来年にも通常国会に提出、09年度中にも始めたい考えだ。

 30日開いた専門家会議で方針をとりまとめた。

 計画では、同センターに消費生活専門相談員や弁護士らで構成するあっせんや調停の機関を設置。都道府県レベルでは対処が難しい事例について、被害者と業者の間に入って仲裁し、紛争の解決をめざす。

 これまでも同センターは、全国の消費生活センターの先導的な役割を担い、消費者から相談・苦情を受けていた。年間1万件近くに上る。そのうち年間200〜300件ほどは業者と消費者の間に入り、問題解決のあっせんに取り組んでいる。

 だが、これらの手続きは国民生活センター法に明文化されておらず、付帯業務の位置づけでしかない。そのため、業者を呼び出そうとしたり、資料の提出を求めたりしても「何の権限があるのか」などと拒まれ、不調に終わることも年間数十件ほどあったという。

 そのため内閣府は同センターに対して、調査権を与えるほか、合意内容の履行勧告や交渉中事案の時効中断などの権限も与えたい考えだ。

 あっせん手続きは原則的に非公開で進めるが、業者が求めに応じなかったり、消費者被害が広まる恐れがあったりする場合は経過や結果も公表する。応じない業者には過料を科すなど制裁規定を盛り込むことも検討する。

 各地の消費生活センターを運営する全国の自治体には、条例で独自に消費者と業者間の紛争仲介の手続きを定め、業者に説明や資料の提示などを求めているところもある。だが実際は運用されていない自治体も多く、各地で対応が異なっている現状がある。そのため、内閣府は今後、少なくとも都道府県で統一的な対応ができるよう、法改正にとどまらず、新法の提案も視野に入れて検討を進める。

http://www.asahi.com/national/update/0730/TKY200707300338.html