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2007年07月31日(火) 15時02分

エビ投資詐欺、匿名組合は出資法違反逃れか…20か所捜索読売新聞

 フィリピンでのエビの養殖への投資を名目に、約4万人から約600億円を集めたとされる投資会社「ワールドオーシャンファーム」(東京都台東区)の詐欺事件で、同社が投資の受け皿として説明していた匿名組合について、有価証券報告書が提出されていなかったことがわかった。

 匿名組合での資金運用を装うことで、不特定多数から資金を集める行為を禁じた出資法違反に問われるのを免れようとしたとみられる。警視庁生活経済課は31日、関係先など約20か所を詐欺容疑で捜索するなどして同社の資金集めの実態解明を急いでいる。

 調べによると、同社は2005年ごろから、全国のホテルなどで説明会を開き、「フィリピンでのエビの養殖に投資すれば、1年で2倍の配当金が得られる」「投資の受け皿は匿名組合で、匿名組合がフィリピンの現地法人に投資し、その利益が配当される」と投資家を募集。昨年秋ごろから配当が滞り始めたため、相談を受けた弁護士が調べたところ、投資家に説明していた匿名組合名では、関東財務局に有価証券報告書が提出されていなかったことがわかった。

 今年6月に投資家から告訴を受けた生活経済課の捜査でも、同社が、投資先に挙げていたフィリピンの現地法人のエビの養殖場も実際には、ため池程度で、活動実態のほとんどない零細企業だった。

 一方、ワールドオーシャンファームの黒岩勇会長が02年まで社長を務めていた港区内の健康食品販売会社(03年1月に破産宣告)は、「代理店になれば1年で出資額の倍の助成金を払う」とうたって、全国の約2万人から約300億円を集めたまま解散。出資法違反などで投資家から告訴されていた。

 同課では、こうした経緯から、黒岩会長らが同法違反で摘発されることを避けようと、匿名組合を通じた資金運用を偽装していたとみて調べている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070731i206.htm?from=main2