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2007年07月26日(木) 23時10分

対Facebook訴訟で裁判官がConnectUに訴状の修正を要求CNET Japan

 ボストン発-- ConnectU が同じソーシャルネットワークサイトの Facebook に対して起こした知的財産をめぐる訴訟で、裁判官がConnectUに送ったメッセージは明快なものだった。証拠を見せろ、というのがそのメッセージだ。

 アイデアを盗んだとしてFacebookを訴えているConnectUは、競合するFacebookの創設者で最高経営責任者(CEO)であるMark Zuckerberg氏、設立当初従業員だった、Eduardo Saverin氏、Dustin Moskovitz氏、Andrew McCollum氏、Christopher Hughes氏と3年前から争っており、まだ裁判が終了する見込みはない。

 マサチューセッツ州連邦地方裁判所のDouglas P. Woodlock裁判官は、発展途上にあったConnectUでプログラミングの作業をしたZuckerberg氏がビジネスモデルとコードを盗んだという申し立てを裏付ける十分な証拠がない、と何度も強調した。現在、Facebookの会員数が3000万人を超えているのに対して、ConnectUの会員数は10万人にさえ達していない。

 Woodlock裁判官は、法律事務所Finnegan, Henderson, Farabow, Garrett & Dunnerに所属するJohn F. Hornick氏が率いるConnectUの顧問団に、訴状を修正しなければ裁判を進められないと告げた。「申し立ては事実に基づいていなければならない」と、Woodlock裁判官は述べている。秘密漏洩、詐欺、企業秘密の不正流用など多岐にわたる申し立ては、「きわめて希薄な説得力しかない」という。Woodlock裁判官は、ConnectUの創設者であるDivya Narendra氏、双子のCameron Winklevoss氏とTyler Winklevoss氏に対して、2007年8月8日(米国時間)までに修正した訴状を提出するよう求めた。また、Facebookには、回答期限としてその期日から2週間の猶予を与えた。

 その結果、秋まで大きな進展が見られそうにないことから、7月25日の審問で申し立てが却下されて最終的に決着すると期待していた人は、失望したと思われる。

 Woodlock裁判官はさらに、ConnectUの申し立ての中で最も有力な訴因である著作権侵害についても、根拠が薄弱だと指摘した。申し立ての大半は、FacebookやConnectUが正式に設立される前の、両社の創設者がいずれもハーバード大学の学生だった当時のことだというのがその理由だという。

 「契約という点から見ると非常に弱い」とWoodlock裁判官は語った。確かに、Zuckerberg氏とConnectUの創設者たちの間に署名された正式な契約書はなかったし、「書面上の証拠」は電子メールとボイスメールの伝言に限られており、Woodlock裁判官は原告側に、修正後の訴状にはより有効な事実を記載するようにと促した。メディア演出に異議あり

 原告側が審問直後に記者会見を設定していたことに対して、被告側と裁判官がともに異議を表明した。小規模な法的審問の場をメディアの注目の的にした、不適当でルールに反するやり方だという指摘だ。原告側顧問のHornick氏によれば、記者会見を設けたのはオリンピックを目指すボート競技選手である双子のWinklevoss兄弟の生活スタイルが特別だからだという。「(同兄弟は今夏)ミュンヘンで開催されるFISA世界ボート選手権大会にむけてトレーニング中だ。彼らは真剣に集中的にトレーニングに参加している」とHornick氏は語った。

 「これまでConnectUがマスコミから取材の要望をうけたことはほとんどなかった」と、Tyler Winklevoss氏は用意された声明で次のようにも述べた。「ここ数週間でマスコミからの問い合わせが急増し、記者会見は情報提供のためにも、われわれの日常生活を妨げないためにもよい方法だと思われた」。同氏はまた、憶測についても解消したかったとして、「われわれはメディアの報道に見られる不正確な点についても訂正したい。たとえば、ConnectUはFacebookを閉鎖させたがっていると報じられているが、それは真実ではない」と語った。

 とはいえ、ConnectUがこの小規模な記者会見は注目を引くためではなく、論理的かつ実用的な手段だと主張していても、現実はそういう展開にはなっていない。一流のBoston Harbor Hotelで行われた会見には新聞記者のほかネットワーク局やケーブルテレビ局からのジャーナリストも集まった。

 一方、Facebookの弁護団は裁判をなるべく目立たせたくない。審問に先だってFacebook社は、同社からは審問には誰も参加しないことを明らかにしていた。ConnectUの創設者が3年前にはじめて訴えを起こして以来、原告側によって展開された主張の数においてもメディアからの注目においても、この事件は不相応に膨れ上がっていると、被告人弁護団を率いるI. Neel Chatterjee氏は裁判官に語った。「この事件は多方向にもつれあった繊維のようなもので、手に負えなくなりかけている」(Chatterjee氏)

 Chatterjee氏は、Facebookという企業の代理だけではなく、被告として名前があがっている個人について、既に退社した前最高財務責任者(CFO)Eduardo Saverin氏を除く全員の代理人も務めている。Saverin氏の別個の代理人を務める弁護士は、同氏がすでにFacebookとは関係がなくなっているとして、訴訟から除外するように強く要望した。

 一方で被告側弁護団は、ConnectUがメディアの注目を引いて名を売ろうとしていると非難している。「ConnectUはマスコミを舞台にこの事件を争おうとしている」とChatterjee氏は言う。これには裁判官も同感のようだ。「不正に優位にたち、おそらくは機に乗じようとして、メディアの報道を利用している感がある」とWoodlock裁判官は述べている。

 Facebookがマスコミを遠ざけるのは困難になるばかりだ。23歳にして驚くべき財を自力でなしたZuckerberg氏は、興味をそそられる人物であることに間違いない。また、審問に濃紺のピンストライプ柄のそろいのスーツ姿で現れたConnectUのWinklevoss兄弟も、マスコミを強く引き付ける要素を持っている。2人は、リオデジャネイロで開催されたパンアメリカン競技大会で、米国のボート競技チームの一員として金メダルと銀メダルを獲得したばかりだ。

この記事は海外CNET Networks発のニュースを編集部が日本向けに編集したものです。 海外CNET Networksの記事へ

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