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2007年07月24日(火) 03時06分

<脱税>FX利益を隠し7千万円 東京国税局が男性告発毎日新聞

 少ない元手で多額の為替取引ができることから人気の外国為替証拠金取引(FX)で、05年までの3年間に得た約2億円を隠し、約7000万円を脱税したとして、東京国税局が東京都江戸川区の保険代理業の男性(84)を所得税法違反容疑で東京地検に告発していたことが分かった。FXを巡る利益は、国税当局が取引実態を把握しにくいため、個人投資家が多額の利益を上げながら税務申告しないケースが目立っており、脱税での告発も相次いでいる。
 FXで挙げた利益は、雑所得として申告しなければならないが、関係者によると、男性は保険代理業での所得は確定申告しながら、FXで得た利益は預貯金にして隠し持っていたという。国税局は、意図的に申告していなかったとして告発に踏み切ったとみられる。男性は毎日新聞の取材に対し、税務調査を受けたことは認めたが「ノーコメント」と話している。
 FXはハイリスク・ハイリターンの金融商品で、少額の元手で始められることに加えインターネットを使った24時間取引が可能で、手数料も安いことから人気が高い。金融先物取引業協会によると、FXの06年度の総取引額は、前年度の約2倍に当たる324兆796億円に達している。
 FX業者は約190社あり、13社が東京金融先物取引所に開設された市場「くりっく365」に参加しているが、大半は投資家と直接取引している。国税当局に顧客の取引状況を提出する義務があるのは市場取引業者に限られるため、国税当局にとっては取引実態が把握しづらい状況にある。
 このため、国税当局は昨年から、一般投資家を中心にFXの重点調査を進め、世田谷区の主婦(59)が遺産を元手に得た約1億3000万円を脱税したケースなどを告発している。【高島博之】

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