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2007年07月20日(金) 03時03分

放射性物質の放出続く 柏崎刈羽原発「人体に影響なし」朝日新聞

 新潟県中越沖地震で緊急停止した東京電力柏崎刈羽原発ではトラブルや故障などが19日も、続々と見つかった。排気筒から放射性物質が大気中に出ていた問題では、確認された17日以降も放出が続いていた。地震発生から日がたつにつれ、被害の詳細が次第に明らかになってきた。

 7号機の排気筒からは、17日昼から18日夜までの間も引き続きヨウ素が検出された。大気へ放出された放射能量は約2000万ベクレル。放射線量は合計で1000万分の2ミリシーベルトで、法に定める公衆線量限度の500万分の1。人体や環境に影響はないとしている。

 東電は、タービンの軸を封じる部分から、復水器にたまっていた放射性物質が含まれた空気が排気筒に流れ出たことが原因とみている。原子炉停止で手動で止めるべき機器が動いたままになっていたなど、操作手順の誤りと機器の故障が重なって起きたという。

 原子力運営管理部の鈴木良男部長は「地震発生後も何日にもわたって放出を止められなかったのは遺憾だ。一日も早く止められるよう全力を尽くす」と話している。

 6号機から、使用済み核燃料プールの放射性物質を含む水が海に漏れたのは、原子炉建屋内の電線を通す管を伝って、下の階に流れ出たのが原因だったとわかった。

 1号機の原子炉建屋では消火用配管の損傷による水漏れが止まらず、地下5階に深さ40センチまで水がたまり、機器の損傷が懸念されている。この水は、床にあった放射性物質で汚染されていることもわかった。

 4号機と7号機のプールでは、使用済み核燃料が入った囲いの上に水中で機器類を載せる鉄製の作業台(重さ200キロ)が落ちていたことも判明した。燃料に損傷はなかったが、「結果として大事に至らなくても安全性の検証は必要だ」と経済産業省原子力安全・保安院原子力発電検査課の根井寿規課長は話す。

 さらに東電は、中越沖地震の震源から柏崎刈羽原発までの距離は23キロ、震源の真上にあたる震央からは16キロと訂正した。これまでは14キロ、9キロとしていた。気象庁による震源の変更を反映した結果、距離が延びた。

http://www.asahi.com/national/update/0720/TKY200707190581.html