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2007年07月19日(木) 23時44分

地震データ消失、放射性物質まだ放出…原発ずさん対応続々読売新聞

 新潟県中越沖地震に襲われた東京電力柏崎刈羽原子力発電所で、19日、地震計の記録消失や放射能漏れの継続などのトラブルが新たに判明した。

 トラブルは計63件になった。一方、この日施設内を調査した政府の原子力安全委員会と経済産業省原子力安全・保安院は、消火活動などへの備えと対応が不十分だったと指摘、他原発の過去のトラブルの情報を生かしていないことも問題視しており、原子炉7基を抱える世界最大級の原子力発電施設に対し、大幅な防災体制の見直しを迫っている。

 東京電力によると、柏崎刈羽原発の建屋や敷地内に設置した地震計97台のうち、旧式の63台のデータの一部を消失した。地震計は記録データを東京に随時、電話回線で伝送する仕組みになっていたが、地震直後は電話回線が混乱し、伝送を終える前に相次いだ余震でデータが上書きされた。本震発生後のデータが最長1時間半分消えた。

 新型地震計には本震のデータが残っているが、貴重な生データを失ったことは、耐震安全性の検証作業に影響を与えかねない。同様トラブルは、3月の能登半島地震の際、北陸電力志賀原発でも起きている。

 7号機の主排気筒からヨウ素などの放射性物質が大気中に放出された問題について、東京電力は、18日昼近くまで2日間、放出が続いていたと発表。原子炉の緊急停止後、マニュアルに反し発電用タービン関連の排風機を作動したままにしたため、放射能を含んだ空気がタービン内から外に排出されていた。放射能は極微量で、人体への影響はない。

 排風機は18日に停止させたが、本当にヨウ素の放出が止まったかどうかは、20日昼ごろに判明する。東電は、原発の敷地境界付近では、放射能は検出されていないとしているものの、念のため監視を強化した。

 また、1号機原子炉複合建屋地下で見つかった消火用配管の破損部から、再び多量の水(1670トン)が漏れていることも確認された。4、7号機では、使用済み燃料プール内の作業台が燃料の上に落下していた。

 一方、3号機の変圧器の火災で、当番の職員が所内の消防隊員を招集していなかったことが、保安院の調べで判明した。東電のマニュアルでは、火災発生時は当番員が消防隊員を招集することになっている。この日は祝日だったため、「休祭日当番」が4人いたが、原子炉が緊急停止した後の対応に追われ、消防隊員の招集に手が回らなかった。

http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20070719i113.htm?from=main1