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2007年07月17日(火) 00時00分

「炎上」からネット世論が見える読売新聞

炎上が市民社会に与えた「気づき」

ライブドアでブログサービスを始め、ユーザー発信型サービスの発展と炎上事例を見守り続けてきた
——自分のブログが炎上してしまったら、どうすればいいでしょう?

伊地知 これも現実社会と同じで、まずはおわびすることです。それでも足りなければ、またおわびする。過ちについてはおわびしながら、徐々に普通の話題に戻していくといいでしょう。

——ブログ炎上という事態から、社会の変化が感じられるそうですが。

伊地知 日本人は和を重んじるので、事なかれ主義に陥りがちです。これまで意見を戦わせる文化はあまりありませんでしたが、ブログの登場によって変わってきたのではないかと思います。炎上はその一例と言えるでしょう。

 炎上は、ネットが組織化する力を持っていることを、幅広い層に気づかせる役割もあるのではないかと思っています。

——具体的にはどういうことでしょう?

伊地知 国や大企業のような大きな存在と、個人との関係も変わってきました。かつてはデモ行進や署名運動によって、小さな意見を集める形で市民運動が行われていましたが、今はそうしたことがネットを通じて手軽にできます。市民が仲間を集め、組織化して戦うことが簡単になっているのです。

 炎上も、個人が発信した情報で形作られるメディアの一分野と言えます。炎上は負の側面ばかりに目が向きがちですが、それだけでなく、その中には一般の人たちがどんなことを考えているのかを知る要素やヒントがあると思っています。(メディア戦略局 新井 庸夫)

(敬称略)

http://www.yomiuri.co.jp/net/interview/20070713nt11-1.htm