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2007年07月13日(金) 22時27分

灰色金利利息の請求、過払い発生時から可能 最高裁朝日新聞

 利息制限法の上限を超えて支払った「過払い」分を貸金業者に返還させる際の額の算定について争われた二つの訴訟の上告審判決で、最高裁第二小法廷(今井功、津野修各裁判長)は13日、原則として「過払いのあった時点」からの法定利息(年5%)も盛り込んで請求できるとの初判断を示した。借り手にとっては取り返せる額が増える有利な内容。全国で相次いでいる同種の訴訟に影響がありそうだ。

 利息制限法の上限(15〜20%)を超える利息は本来無効だが、出資法で刑事罰が科されるのは29.2%。この中間の「グレーゾーン金利」での例外的な貸し付けについて、最高裁は04年、法で定められた借り手側への書面の交付に不備があった場合は無効で、借り手側は「過払い金」の返還を求められると判断。その後の06年にも、例外的にグレーゾーン金利を認める範囲を極めて狭める判決を出したため、返還請求が全国で急増した。

 過払い金は、取引経過に基づいて利息制限法の範囲内の利率で計算し直すことで、どの段階から発生したかが確認できる。発生した取引の時点から、過払い分に利息を併せて請求できるかどうかは、下級審で認めたり認めなかったりと判断が分かれていた。

 第二小法廷は「貸金業者は、グレーゾーン金利が許されない場合には、過払い金を借り手に返還すべきことを十分に認識しているというべきだ」と指摘。過払い金が発生した時点からの利息も返還請求できると判断した。ただし、「グレーゾーン金利が許されると認識する特段の事情があった」と業者側で証明できた場合は例外とした。

 対象となった二つの訴訟では、東京都と埼玉県の借り手が横浜市内の貸金業者「エイワ」に利息を付けて返還するよう請求。一、二審判決は利息分を認めなかった。第二小法廷は、業者に「特段の事情」があったかを調べさせるため、東京高裁に審理を差し戻した。

 グレーゾーン金利での例外的な貸し付けは、昨年の法改正により、09年末をめどに撤廃されることになっている。

http://www.asahi.com/national/update/0713/TKY200707130460.html