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2007年07月10日(火) 13時34分

コシヒカリ販売苦戦…JA上越動く産経新聞

 新潟産コシヒカリのブランドが揺れている。国内消費量の低迷や低価格志向、他県産米の品質・食味向上の影響で、販売が苦戦。危機感を抱いたJAえちご上越(本店・上越市藤巻)は、農薬や化学肥料の「3割減減」や、農業法人設立をサポートする「のれん分け」制度をスタートさせた。上越米のブランド化を目指す「プロジェクトJ」がコシヒカリ巻き返しの起爆剤となるか。(永岡栄治)
 上越市内のホテルで5日、全国の卸・小売業者38社を集め、上越産米の評価を聞く「JAえちご上越産米求評懇談会」が開かれた。席上、新潟産コシヒカリの苦境を伝える声が相次いだ。
 「黙っていても売れていたコメが、見方を変えれば一番売れないコメになった。年々取引が減り、平成18年産は1000トン単位、3億円の売り上げが落ちるだろう。県経済への打撃は大きい」
 県内最大手のコメ卸会社「新潟ケンベイ」の加藤正作米穀部長は、コシヒカリ一辺倒からの脱却を切実に訴えた。東京山手食糧販売協同組合の大林正孝米穀部長の言葉は、さらに深刻だ。
 「新潟産コシヒカリは大苦戦している。これまでは高値でも動いていた魚沼産の実勢価格は入札価格より5000円も下がっている。19年産はどうなるのかというのが、偽らざる気持ちだ」

 苦境に陥るコシヒカリに県などが期待を寄せるのが、品質向上や規模拡大に積極的な上越地域の取り組みだ。県地域農政推進課の佐藤俊彦課長は「農家と農協、行政が一体となり、あらゆる手を使って生き抜こうとしている」と評価する。
 JAえちご上越は13年、7JAが合併し、上越、妙高両市を管内とする広域JAとなった。古川敏雄・営農生活部長は翌年、上越米をブランド化する「プロジェクトJ」に乗り出した。
 昨年の求評懇談会では、農薬と化学肥料の使用量を3割以上減らす「3割減減」を全域で行うと宣言。今年から9割の農家が実践し、県内にも波及している。

 国が一定規模以上の農家や集落営農組織に限定して補助する品目横断的経営安定対策を控え、JAえちご上越は1月末、法人設立を支援する株式会社「アグリパートナー」を設立した。農家にとって法人化はリスクを伴う。「3年でけんか別れした法人もある。農協が間に入ってリスクを負担しなければ」と、古川部長は話す。
 参加農家に経営を指導しながら収益を配分、採算ベースに達した段階で独立してもらう。現在はコメ、大豆合わせて30集落(作付面積計271ヘクタール)が加わっている。
 古川部長は「県内をリードしているのは魚沼ではなく、上越」と自負する。しかし、「プロジェクトJ」は走り出したばかり。未知数だ。新潟が「コメどころ」であり続けることができるか、その成否にかかっている。

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