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2007年07月09日(月) 18時48分

ドロドロ血商法、「次々販売」を展開 高額納税リストから高齢者探す産経新聞

 医療サービス会社が「あなたの血はドロドロです」と無資格で診断していた事件で、同社は高額納税者リストの中から対象にする高齢者を選び、不安をあおって高額のサービスや投資などの契約を次々と結ばせる「次々販売」を展開していたことが分かった。警視庁は、医師法違反容疑での逮捕を突破口に「ドロドロ血商法」の解明を進めているが、同社は組織ぐるみで法規制の抜け穴を巧みについていた疑いが強い。

 「病名を告げていないので医師法違反ではない。特定商品を扱っておらず特定商取引法違反にも当たらない」。医療サービス会社「フォーチュンパシフィックホールディングス」(東京都千代田区)は取材に、どの法令にも抵触しないと強調した。

 だが、警視庁は日本の医師免許なしに診断していた医師法違反容疑で、系列診療所勤務の女(50)を逮捕。東京都も消費生活条例に基づき改善を勧告した。
 都の調査などで判明した手口はこうだ。

 都内の高額納税者リストをもとに高齢者を狙い、電話やダイレクトメールで「無料の血液検査」に誘う。無資格のスタッフが採血後、血液画像を示し「(血液が)くっついている。これはひどい」と不安をあおる。「がんになると考えれば安い」などと130万〜250万円もする鍼灸(しんきゅう)などのサービスに勧誘する。

 都消費生活部は「詐欺罪を警戒してか病名を告げるなど明らかなうそは避け、入会しないと重病になると巧みに思い込ませた」と指摘する。

 フォ社が勧誘を本格化させた平成14年、都消費生活総合センターに「何度断っても勧誘された」などの相談が寄せられるようになった。14年度に8件だった相談は、15年度36件▽16年度51件▽17年度74件−と年々増え、昨年末までで計227件に上った。

 相談者の平均年齢は67歳で、最高齢は85歳。グループ会社を通じて中国への不動産投資を募り、「利益が出ないまま別の投資を勧められた」との相談も寄せられた。

 契約額は平均318万円で、4300万円払ったケースもあった。高額になったのは、フォ社がグループ内で「次々販売」を展開したためだ。

 都消費生活部は再三指導したが、フォ社は「一部社員の行為」と繰り返すだけ。都は「個人的行為がこれほどトラブルを招くはずはなく、会社ぐるみの作為」と判断し、勧告に踏み切った。

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【用語解説】次々販売
 1人の消費者に複数の業者が高額な商品やサービスを次々と販売する悪質商法の手口。国民生活センターの集計では増加傾向にあり、老後の蓄えがある高齢者が被害にあっている。全国の消費生活センターへの相談は布団、着物、「リフォーム詐欺」の屋根工事や床下換気扇などの商品が多い。専門家は勧誘しやすい被害者のリストが業者間に出回っていると分析している。

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