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2007年07月09日(月) 17時03分

「ドコモは回線開放を」日本通信、総務相裁定を申請へ朝日新聞

 携帯電話市場の5割超のシェアを握るNTTドコモに対し、通信ベンチャーの日本通信は9日、「回線網を貸すべきだ」として総務相の裁定を申請することを決めた。総務省は競争を促す回線貸しの普及に積極的で、開放を命じる裁定が出れば大手3社による寡占が崩れ、国際的に割高とされる携帯の通信料の引き下げにつながる可能性がある。

 両者が昨年11月に始めた交渉が決裂したためで9日午後申請する。携帯の回線貸しを巡る紛争が行政手続きに持ち込まれるのは初めて。

 日本通信(大証ヘラクレス上場)は、ドコモの回線網を借りて高速データ通信サービスを始める考えだ。自前で基地局などの通信設備を持たず、既存大手から通信網を借りてサービスを提供するMVNO(仮想移動体通信事業者)と呼ばれる事業者で、この分野の日本の草分け。01年からPHS最大手のウィルコム(旧DDIポケット)の通信網を借りてデータ通信サービスを提供しているほか、米国6位の携帯事業者、USセルラーの第三世代(3G)携帯網を借りて全米でデータ通信サービスを始める準備を進めている。

 回線貸しは、設備の空き容量の有効活用として設備を持つ事業者にも恩恵があるため、米欧では広く普及しているが、日本ではベンチャー企業との値下げ競争を避けたい大手3社が及び腰で、広がっていない。

 携帯市場の競争促進をテーマにした総務省の研究会は6月、回線貸しの普及を促す方針を報告書案で打ち出した。このため、日本通信は有利な裁定が出る可能性が高いとみて申請に踏み切った。

http://www.asahi.com/business/update/0709/TKY200707090257.html