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2007年07月09日(月) 15時15分

「モンスター」につぶされる教師 理不尽なクレーム深刻化産経新聞

 「モンスター」にたとえられるほど理不尽な小中学校の保護者らのクレーム。対応にあたる学校現場の悩みは深刻で、体調を崩す教員も出ているという。文部科学省が専門家による本格支援に乗り出す背景には、このままでは教員らが負担に押しつぶされてしまうという、深刻な実情があるようだ。
 「今から出てこい」。関東のある中学教師は、受け持ちの生徒の父親から電話で怒鳴られた。時計はすでに午前2時を回っていた。教師の指導をめぐり、「うちの子だけに厳しすぎるんじゃないか」というのが父親の不満だった。電話では解決できないから、飲食店まで出てこいという。強引な言動に、教師は恐怖心さえ抱いた。毎晩深夜に電話をかけたり、校長室で何時間も怒鳴ったりする“怪物”が、全国的に増えているという。
 要求の内容にあぜんとさせられることも少なくない。「集合写真の真ん中がなぜうちの子じゃないんだ」「毎朝、(母親の代わりに)子供を起こしてほしい」といった無理難題も。
 クレーム問題などを考察する「学校保護者関係研究会」のメンバーで、立川第一中学校(東京)の嶋崎政男校長は「ごく一部にすぎないが、学校に1人でもいればその対応に振り回されて本来の業務に支障が出る。現場の校長や教員が抱えるストレスは考えられているよりはるかに深刻」と指摘する。
 文科省の委託で昨年7〜12月に行われた教員勤務実態調査によると、全国の公立小学校教員の75%と中学校教員の71%が、「保護者や地域住民への対応が増えた」と感じていた。「授業の準備時間が足りない」と支障を訴える教員も、小学校で78%、中学校で72%に上った。何らかのトラブルで保護者から訴えられるかもしれないと考える教員も多く、東京の公立教員の3人に1人が、訴訟の際の弁護士費用などを補償する「訴訟費用保険」に加入しているというデータもある。

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