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2007年07月07日(土) 10時07分

長崎市長射殺 署係長も事前に把握 調査結果県警公表 「緊迫感なく」通報放置西日本新聞

 伊藤一長・前長崎市長射殺事件で、長崎署の刑事(56)=巡査部長=が、殺人罪などで起訴された暴力団幹部、城尾哲弥被告(59)の知人男性から事件の約2時間前に城尾被告の動向について通報を受けていた問題で、長崎県警は6日、この刑事が直後に上司にあたる同署係長(50)=警部補=に通報内容を連絡していたなどとする内部調査結果を発表した。だが係長は「緊迫感がない」などとして署の幹部には伝えず、捜査員を派遣するなどの措置は取られなかった。

 県警は同日、前市長の遺族に調査結果を報告するとともに、係長の対応について「通報内容に緊迫性がなかったので、不適切ではない」との考えを伝えた。

 県警によると、事件が起きる約2時間前の4月17日午後5時52分ごろ、男性から刑事に「(城尾から)前市長がどこにいるのか聞かれたから『JR長崎駅前の選挙事務所に聞けば』と伝えた。(城尾は前市長に)『文書を渡す』とか言いよった」などの内容の通報があった。この刑事は非番だったため、午後6時ごろ上司の係長に携帯電話で報告。しかし、係長は「日時など具体性がなく、緊迫感がない」と判断、同署幹部に報告しなかったという。

 前市長は午後7時52分、選挙事務所前で背後から城尾被告の銃撃を受けて亡くなった。

 また、刑事は事件発生後の午後9時ごろ、緊急招集を受けた同署で、県警本部組織犯罪対策課の特捜班長(56)=警部=に通報があったことを報告。だが、班長は「捜査指揮が忙しかった」などの理由で県警幹部に報告していなかったという。県警は「(今後も関係者を)処分するかどうかの検討は続ける」(県警監察課)としている。


=2007/07/07付 西日本新聞朝刊=

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070707-00000020-nnp-l42