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2007年07月07日(土) 17時30分

背後に詐欺集団か 東京・板橋の遺体搬出朝日新聞

 東京都板橋区高島平1丁目のマンションから遺体が運び出されたとされる事件は、背後に詐欺グループが存在する可能性が出てきた。部屋の借り主の男性は養子縁組を重ね、男性名義の銀行口座は詐欺事件の送金先として凍結されたこともあった。警視庁は、姿をくらませたこの男性が事件の鍵を握るとみて、行方を捜している。運び出されたとみられる遺体が未発見のまま、事件は発覚から1カ月がたった。

 調べでは、マンション住人が不審な3人の男を目撃したのは6月6日午前0時半ごろ。1人がマンションを飛び出し、続いて2人が旅行バッグを載せた台車を運び出した。2階の部屋からマンション隣の駐車場まで血痕などが残っていた。

 部屋の借り主は「大久保憲義」を名乗る男性(29)。当初、遺体はこの男性ではないかとの見方もでたが、発覚翌日、男性から知人に「今は会えない」との電話やメールが届いた。その後、6月下旬にかけても、知人に「関東にいる」などと電話があった。携帯電話の電源はほとんどの時間切られている。時折電源が入るが短時間で、捜査幹部は「留守電などを確認しているのでは」と言う。

 男性は昨年4月、横浜市から品川区に転居。今年5月に現場マンションに移っていた。これまでに2回養子縁組し、名字を「加藤」、「大久保」と変更。現在の戸籍上の父親は「憲義なんて知らない」と話しており、男性が無断で戸籍を書き換えた疑いが強い。新潟県内に住む実母は「息子が何をしていたか全く知らなかった」と話す。

 また、男性が社長になる会社が都内に少なくとも7社あった。すべて所在地は私書箱の住所で、資本金千円というペーパーカンパニー。これらの会社名義で携帯電話が数台登録され、そうした電話同士で事件前、頻繁に通話があったことがわかった。

 一方、運び出されたとみられる遺体の身元解明は難航している。血痕などのDNA鑑定を試みているが、古いため特定は難しいという。

http://www.asahi.com/national/update/0707/TKY200707070229.html