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2007年07月06日(金) 10時10分

元国税調査官ら不起訴 収賄事件 便宜供与確認できず 地検西日本新聞

 福岡国税局博多税務署(福岡市)の元上席国税調査官の男性(41)=懲戒免職=が、税務調査先の40歳代の女性経営者から現金貸し付けや接待の利益供与を受けたとして書類送検された事件で、福岡地検特別刑事部は5日、元調査官の収賄罪と女性経営者の贈賄罪について、いずれも嫌疑不十分で不起訴処分にした。地検は「税務調査における便宜供与は確認できず、利益供与はわいろには当たらない」としている。

 地検の調べでは、元調査官は昨年12月から今年3月上旬にかけ、税務調査に入った会社の女性経営者から、フランス料理店での会食や同伴旅行、現金100万円の貸し付けなど、総額約200万円相当の利益供与を受けたとされた。地検によると、税務調査を機に元調査官が女性を食事に誘い交際関係になった。しかし、100万円の返済に応じないため女性が元調査官の上司に苦情を申し立て、利益供与が発覚したという。

 地検は「複数の調査官がチームで行う税務調査で手心を加えることは難しい。女性が自ら申告していることからも、便宜供与があったとは考えられない」と判断した。

 一方、今回の事件を受け、福岡国税局は6月16日付で当時の上司だった統括国税調査官や博多税務署長ら3人を訓告などの処分にした。吉川秀樹・福岡国税局国税広報広聴室長は「不起訴になったとはいえ、元職員の行為は許されるものでない。2度と起きないよう綱紀の保持に努めたい」とコメントした。


=2007/07/06付 西日本新聞朝刊=

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070706-00000004-nnp-l40