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2007年07月05日(木) 15時03分

<クラスター>「製造企業へ投融資禁止」オスロ・プロセスで毎日新聞

 【ブリュッセル福原直樹】不発弾が市民に深刻な被害をもたらすクラスター爆弾について、08年までの禁止条約の成立を目指す「オスロ・プロセス」が、同爆弾の製造企業への投融資も禁止する方向で検討していることが5日、わかった。同プロセスを主導するノルウェーの政府高官が語った。製造企業への投融資では欧州の金融機関が相次いで自粛する一方、日本の金融機関の巨額融資が表面化しており、日本が条約に参加した場合、対応を迫られそうだ。
 高官によると、オスロ・プロセスでは、対人地雷禁止条約(オタワ条約)をモデルに議論を展開。同条約は対人地雷の開発・生産者への「援助」を禁止しており、同プロセスでも多くの参加国が「オタワ条約同様の厳しい内容」を求めているという。このため、すでに参加国や非政府組織(NGO)がクラスター製造企業への融資(援助)の禁止の方向で議論を始めている。
 現在、同プロセスは禁止対象となるクラスター爆弾の「定義」で議論が続いている。だが、技術的な議論は複雑で理解しづらく、製造企業への投資など援助を禁止する方が、「効果的で分かりやすい」との判断も、この背景にあるという。
 クラスター爆弾の製造企業への投融資では04年、ベルギーの大手銀行が製造企業19社の「ブラックリスト」を公開し、「反倫理的」として企業への融資を自粛。英国やノルウェー、オランダの銀行や年金機関もリストを公開して同様の措置を取るなど、欧州では「倫理的投資」が金融機関の潮流になりつつある。
 この一方で、ベルギーのNGO「ネットワーク・フランデレン」によると04年から現在まで、日本の大手3金融機関を含む世界13カ国の68金融機関が、米欧の製造企業6社に約140億ドルを投融資していた。うち日本側の投融資は5企業に対し各約6000万〜1億ドルだったという。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070705-00000055-mai-int