記事登録
2007年07月01日(日) 11時44分

NOVA「割高解約」経産省02年文書で“お墨付き”読売新聞

 英会話学校最大手「NOVA」(大阪市)が中途解約時に受講生に不利な清算方法をとっていた問題で、経済産業省が2002年6月、この清算方法を「合理性がないとはいえない」として容認する文書を出していたことがわかった。

 同社はその4か月前に東京都から清算方法を改善するよう行政指導されていたが、経産省の文書が出たことで、都の指導も立ち消えになった。問題の清算方法は最高裁判決で違法とされる直前の今年3月まで続けられ、受講生の不利益を拡大させる結果になっている。

 この清算方法は、3年などの長期契約を結んでいる受講生が中途解約する際、受講済みのレッスンの単価を、契約時よりも割高の単価で計算する仕組み。受講生側から見ると、返金額が目減りする。経産省が今年6月13日に特定商取引法に基づいて出した業務停止命令でも、予約がとれないことなどが理由の場合は違反行為になると指摘された。

 しかし、経産省が02年6月10日付で全国の地方経済産業局に出したNOVAに関する文書では、清算単価が、契約の形態によっては同社が実際に適用している単価であることを根拠に、受講生の中途解約の権利を制限するとは思われないと説明。「合理性が認められないとはいえない」と結論づけていた。

 また、中途解約時に、受講のために事前に購入したポイントの一部を一定期間ごとに失効させていた仕組みも、同じく「合理性がないとはいえない」としていた。

 文書は、全国の消費生活センターなどに同社の中途解約の方法に関する相談や苦情が相次いでいるのを受けて、経産省消費経済政策課が同社から事情を聞いたうえで見解をまとめたもの。文書の内容は、各地方経済産業局から都道府県や消費生活センターに伝えられたため、結果的に経産省がNOVAに“お墨付き”を与えた形になった。

 東京都では、文書が出る4か月前の02年2月に同社に対し、受講生に「いつでも予約ができる」などと虚偽の説明をしたり、契約書に不備があったりした点とともに、中途解約時の清算方法を見直すよう指導していた。都などによると、同社は3月に虚偽説明の点は社員の判断ミスなどが原因だったと認め、改善を約束したが、解約時の清算方法については「経産省との協議後に対応する」と回答を留保。その後、経産省の見解が出たことで、都もそれ以上の指導はできなくなったという。

 一方、全国の消費生活センターに寄せられた同社への苦情は経産省の文書が出た後も増加。02年度の855件から、04年度982件、05年度1088件と増え続け、06年度は外国語会話教室全体の53%を占める1967件に達している。

 NOVAは05年9月に消費者団体から中途解約時の清算方法を改善するよう申し入れを受けた際、清算単価の設定について「行政当局と意見交換したうえで導入している」などと回答していた。経産省消費経済政策課では「苦情が多数寄せられるような事例では、国として一定の見解を示すことは必要だ。予約が十分にとれるというNOVA側の説明を前提として回答したものだが、その後同社に利用された面があるのは否定しない」としている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070701it02.htm?from=top