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2007年05月29日(火) 17時01分

松岡農相自殺:県政界にも衝撃「信じられない」「冥福祈る」 /熊本毎日新聞

 ◇野党「真相の解明を」
 事務所の政治資金問題や官製談合事件が告発された農水省所管の「緑資源機構」関連団体からの献金問題で野党から追及されていた松岡利勝農相が28日、自殺したニュースは、県内政界関係者にも大きな衝撃を与えた。関係者は「信じられない」「松岡農相の冥福を祈りたい」と語りつつも、野党からは「スキャンダルの真相解明に努めたい」などの声も出た。
 自民党の木原稔衆院議員(熊本1区、比例で復活当選)は同日、県内で行われた会合に出席して熊本市内の事務所に戻ってきたところで、“自殺”をテレビニュースで見た。「一報を聞いて(木原議員は)びっくりした様子だった」(事務所関係者)という。
 木原議員と松岡農相は、共に熊本市の済々黌高の卒業生で、木原議員が松岡農相に最後に会ったのは、今月13日に開かれた同校の運動会の時。事務所によると、松岡農相は木原議員に「『日本の優れた農産物を積極的に世界に輸出したい』と目を輝かせて語っていた」という。
 また、園田博之衆院議員(4区)は事務所を通し「念願の大臣になったのに自分の得意の農業政策分野を生かせず、政治資金にかかわる話が持ち上がって本来の仕事ができなかった。そのことを考えると、本当に気の毒だった」とコメントした。事務所によると、園田議員は「先週、国会で会った時には思い悩んでいる様子はなかったのに……」と語ったという。
 県農政連の園田俊宏委員長は「先日、上京した時には非常に元気な様子で今後の農政問題について熱く語っており、信じられない」とするコメントを出した。
 松岡農相は、世界貿易機関(WTO)交渉や日豪EPA(経済連携協定)交渉など、日本の農業に大きな打撃を与えかねない重要な交渉を担当していた。
 園田委員長は「予断を許さない状況となっており、我が国にとって非常な大きな打撃となる」とコメントに記すなどショックを隠せない様子だった。
 一方、民主党県連の鎌田聡代表は「農政に大きな足跡を残した故松岡利勝農水大臣のご冥福を心からお祈りしたい」としながらも「政治スキャンダルの渦中にあった当事者が事件の解明を待たずこのような結果に至ったことは極めて残念」「任命権者である安倍総理が一連のスキャンダルの真相解明に努力することなく、大臣をかばい続けたことが結果として不幸な事態につながったと考える。安倍総理の責任は大きいと言わざるを得ない」として、今後も真相究明を求める考えを示した。【祝部幹雄】
 ◇事務所「ショック」
 南阿蘇村立野の松岡農相の阿蘇事務所では、テレビでニュース速報が流れた直後から次々に電話が鳴り始めた。事務の女性は「私たちも今知ったばかり。何も分かりません」と繰り返すばかり。秘書は「ショックで動揺している。東京からも何も言ってこないし、携帯電話にも出ない」といらだたしげに話した。
 午後1時半過ぎ、テレビで塩崎恭久官房長官の会見が映し出されると秘書らは無言で食い入るように画面を見つめた。「びっくりした。どうなってる」と事務所に飛び込んでくる支援者らもいた。【門田陽介】
 ◇「驚きの一言」−−知事や自民県連が会見
 潮谷義子知事は急きょ28日午後、県庁で会見し「こんな形で亡くなるとは驚きの一言」と述べた。25日に羽田空港でばったり会ったが「あいさつを交わした程度だった」という。「大臣就任会見でペーパーを読まずに答弁していた様子が印象的だった。熊本は農業県なのでどう影響するのか」と農政通といわれた松岡農相の死を悼んだ。
 自民党県連の古閑三博会長ら三役も同日会見。「松岡氏の関係者とはまだ連絡がつかない。党中央も整理がついていないだろう」と困惑した様子。衆院熊本3区補選について「3区の議席を守ることは当然。しかし、まだ葬儀の日程も決まっていない状況で、先のことはこれから」と話し、その後、会長室で協議を続けた。【山田宏太郎】

5月29日朝刊

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070529-00000276-mailo-l43