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2007年05月28日(月) 03時02分

緑資源疑惑、熊本の36社で談合組織…「公取委に注意を」読売新聞

 農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」が熊本県で実施している「特定中山間保全整備事業」を巡る談合疑惑で、同県阿蘇地域の一部の地元業者が事実上の談合組織を設立し、同事業の工事を独占的に受注していたことが、関係者の話で分かった。

 組織の設立時には、公正取引委員会による調査に注意することなどが確認されたという。東京地検特捜部は、機構側が、この組織の受注希望を踏まえ、落札予定業者を決定していたとみて調べている。

 この組織は「阿蘇北部地域中山間事業安全推進協議会」。同協議会の複数の会員業者によると、2003年度に行われた同事業の工事の入札で、地元業者間で受注を巡るトラブルがあったことから、阿蘇市の大手建設会社が、再びトラブルが起きないようにと設立を発案した。04年4月、同県北部の阿蘇地域の地元業者36社を会員に任意団体として発足。会長には大手建設会社が選ばれた。

 同協議会の設立総会では、〈1〉年会費は1万円とする〈2〉受注した工事の落札額の0・3%を「賦課金」として同協議会に納付する〈3〉共同企業体(JV)を組んで受注する場合は、会員同士でJVを構成する——ことなどを申し合わせたという。

 また、設立総会では、受注に当たっては、阿蘇地域内の北部、中部、南部の3区域で公平に受注することが確認され、役員側から「公取の調査が入るかもしれないので、気を付けるように」との指示も出されたという。

 受注希望については、会長が中心となって調整し、その結果が機構側に伝えられていたという。

 同事業で機構が06年度に発注した農林道や農用地などの整備工事計18件(総額約17億6000万円)では、同協議会の会員や会員同士が組んだJVが8割近い計14件(同約12億9000万円)を落札。平均落札率は、大手ゼネコンが入札に参加して談合ができなかったとされる1件を除き、約93・6%だった。一方、残る4件は大手ゼネコン2社や熊本市内の業者2社が落札。大手ゼネコンが落札した2件の工事の平均落札率は約69%と低率だった。

 特捜部では、同機構は、この談合組織の希望を踏まえた上で、各工事の落札予定業者を決定し、阿蘇小国郷建設事業所や宮崎地方建設部を通じて、落札予定業者に「本命」に決まったことを伝達するという官製談合システムが出来上がっていたとみている。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070528i301.htm