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2007年05月28日(月) 03時09分

<外国人研修>あっせんブローカー急増 賃金天引きの要因に毎日新聞

 外国人研修・技能実習制度で、中国の送り出し機関と日本の受け入れ団体のパイプ役となり、研修生をあっせんする営利目的のブローカーが急増している。80団体以上あるとの情報もあるが、制度を支援する財団法人「国際研修協力機構(JITCO)」(東京都千代田区)も把握できていない。日中双方でマージンが発生することで、研修生に要求する手数料の引き上げや賃金天引きの一因になっている。
 研修生をあっせんしている関東北部の業者は、在日中国人の代表が10年前に設立。「送り出し機関と言葉が通じない」と悩む農協から「研修生を受け入れるから日本駐在員になってくれ」と頼まれたことがきっかけだったという。現在は日本人3人と中国人12人がスタッフをしている。
 法務省出入国管理法基準省令は「あっせんを行う場合は、営利を目的とするものではないこと」と定め、この制度ではブローカーの介入を認めていない。しかし93年の制度発足から10年以上たち、05年の「研修」資格の入国者が過去最高の8万3319人に達する中、研修生を単純労働者扱いするブローカーもなし崩し的に増えている。
 中国人の代表は「両国のクッションとして業者は必要」と強調した上で「研修生を巡回するアフターフォローをしており、24時間対応する。あっせんだけのブローカーと一緒にしないでほしい」と話す。日本人スタッフも「うちと違って、ダイレクトメールや名刺を配って勧誘しているブローカーがいる。そういうところが自分の家を連絡先にして管理費を値下げし、研修生の費用を転嫁している」と話し「変な業者は取り締まってほしい」と逆に要望した。
 中国送り出し機関の日本駐在中国人によると、通訳が日本企業を勧誘したり、貿易会社や旅行会社を装いながら、実際は研修生をあっせんしている業者が多い。問題点として(1)日中双方からマージンをもらう(2)日本企業を格安で勧誘する一方、研修生の来日手数料を引き上げる(3)日本企業がマージン分を研修生の賃金から天引きする——などを挙げた。
 JITCOは「うちを通さず民間だけで研修生の入管手続きをしている中に、ブローカーはいるだろうが、それをコントロールはできない」と話している。【外国人就労問題取材班】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070528-00000009-mai-soci