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2007年05月26日(土) 16時05分

<青木ケ原樹海>借金苦自殺防ぐ看板、市民団体が設置申請へ毎日新聞

 借金苦による自殺を防ごうと、市民団体「全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会」(本部・東京)が6月にも、山梨県の青木ケ原樹海に自殺を思いとどまらせる看板を設置する。同樹海で民間による正式な自殺防止看板設置は初めて。連絡協は今年に入って看板を2度設置したが、県の正式な許可がないとして撤去させられている。しかし、この間に看板を見た約10人が電話相談してくるなど成果を上げており、近く、文書で設置を申請する。
 連絡協は弁護士らが顧問となり、被害者救済のため82年から活動している。樹海入り口の遊歩道付近に、「借金の解決は必ず出来ます! 私も助かりました。まずは相談しましょう」と電話番号を書いた看板の設置を計画した。
 連絡協によると、県有地のために県有林課に電話したところ、「問題ない」と言われたため、7基を1月20日に設置した。しかし、「正式な許可を得ていない」と同課から連絡があり、3月9日に撤去した。「公共団体との連名が好ましい」と指導され、県警富士吉田署に相談した。同署と連名の看板を同30日に再度設置したが、今度も「県警の了解がない」「県の正式な許可がない」と言われ、翌日に撤去した。
 看板があったのは通算51日。連絡協には「看板を見た」と約10人から電話があった。「消費者金融5社から借金300万円があり、10年以上も返済を続けている」と相談した東京都の40代女性は、数百万円の過払いがあると分かって自殺を思いとどまったという。
 警察庁などによると、山梨県は、1年間に県内で見つかった自殺者を人口で割った発見地別の自殺率が全国1位。樹海では年間、50〜100体の遺体が見つかっている。連絡協の吉田豊樹事務局次長は「これまで2度の設置は確かに拙速だった。しかし、今こうしている時にも自殺者は増えている」と話している。【小林悠太】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070526-00000037-mai-soci