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2007年05月22日(火) 03時03分

ヨドバシカメラ、閉店後にヘルパー作業…職安法違反の恐れ読売新聞

 家電量販店大手「ヨドバシカメラ」(本社・東京都新宿区)が、契約関係がなく、人件費も負担していない家電メーカー販売員「ヘルパー」を、閉店後の棚卸しや店内改装に従事させていたことが、わかった。

 読売新聞の取材に、複数のメーカーが認めた。大阪や東京などの大型店舗では、残業が翌朝に及ぶケースもあった。厚生労働省によると、棚卸しなどは本来、量販店の従業員が行うべき業務で、ヘルパーを従事させることは、職業安定法違反(労働者供給事業の禁止)にあたる恐れが強いという。

 ヘルパーの就労を巡っては、業界最大手のヤマダ電機やミドリ電化が労働局から同法違反の疑いで是正指導を受け、ヤマダ電機は独占禁止法違反(優越的地位の乱用)の疑いで公正取引委員会の立ち入り検査も受けている。閉店後の業務にまでヘルパーを従事させていた実態が明らかになったのは、今回が初めて。

 複数のメーカーによると、ヨドバシカメラの主力店「マルチメディア梅田」(大阪市北区)では2月18日、午後9時の閉店後、棚卸しが行われた。担当を割り当てた配置表が店内に張り出され、ヘルパーらは、割り当てられた売り場の在庫を数えて社員に報告した。

 ヨドバシカメラは全国19店舗。棚卸しは各店とも月1回程度あり、メーカー関係者は「他の店舗でもヘルパーを使っていた」と証言している。

 閉店後に売り場の商品展示を変更する店内改装では、さらに長時間残業のケースがあった。マルチメディア梅田では2006年11月16日、午前中に出勤したヘルパーが閉店後も居残り、翌日午前8時ごろまで勤務。東京や横浜市の店舗でも同9月や今年2月、翌朝まで残業した者がいた。ヘルパーの大半はメーカーが人材派遣会社と契約した派遣労働者。残業代を含むヘルパーの人件費は、メーカーが全額負担している。

 ヘルパーの棚卸しへの従事について、ヨドバシカメラは読売新聞の取材に対し、文書で「(ヘルパーがそれぞれ)自社メーカー商品の展示数や在庫数を確保するため行っているもので、弊社の在庫管理の事務を代行しているものではない」とし、職安法違反にはあたらないとの見解を示した。

 これに対し、大手メーカー数社は「ヨドバシカメラから要請を受けたヘルパーらが、お手伝いしてきた」としている。

 ヨドバシカメラは1960年4月設立。2006年3月期の売上高は6012億円で業界第3位。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070522i101.htm