利息返還 請求に備え 引当金積み増し影響
総合信販大手5社の2007年3月期連結決算が18日、出そろった。顧客からの利息返還請求に備えた引当金を積み増したことなどから、全社が経常利益を大幅に減らし、税引き後利益は三菱UFJニコス、オリエントコーポレーション(オリコ)、アプラスの3社が赤字に転落した。貸金業への規制を強化する改正貸金業法が昨年12月に成立した後、利息制限法の上限(年15〜20%)を超える部分の利息返還を求める請求が予想を上回るペースで増加し、収益を圧迫した。
経営首脳「ビジネスモデル、崩壊」 消費者金融と同様に、法改正が信販各社の経営に深刻なダメージを与えたことを浮き彫りにした。
収入面では、公共料金の支払いなどでクレジットカードを利用する顧客が増えていることから、一般企業の売上高にあたる営業収益は、オリコを除く4社が増収となった。
しかし、利息返還に備えた引当金は5社合計で約2000億円に達した。さらに、経営環境の悪化が見込まれることから、納めた税金が将来戻るとみなして自己資本に算入していた「繰り延べ税金資産」もオリコが977億円、三菱UFJニコスが551億円それぞれ取り崩すなど、大きな減益要因になった。
三菱UFJニコスの大森一広社長やオリコの西田宜正・次期社長は記者会見で、「ビジネスモデルが崩壊した」と口をそろえた。
08年3月期の業績見通しでは、希望退職者の募集などのリストラ費用がかさむジャックスを除き、4社は税引き後利益が黒字になると予想している。
ただ、競争は激しさを増しており、セントラルファイナンスが、三菱UFJフィナンシャル・グループから離脱し、三井住友フィナンシャルグループ系列に入ったように、一段の業界再編が進む公算が大きい。
信販業界は元々、宝飾品や車、着物など高額商品の代金を販売業者に立て替え払いし、購入者から分割して返済してもらう「個品あっせん」と呼ばれるビジネスが本業だった。80年代ごろからクレジットカード事業に力を入れ始め、90年代後半になると、カード会員向け融資(キャッシング)が収益源の柱となった。
07年3月期でみると、営業収益に占める融資業務の割合は、三菱UFJニコスが59%と最も高く、残る4社でも48〜38%と大きな割合を占めている。上限金利の引き下げや総量規制が導入される3年後をにらみ、各社とも収益構造の転換を迫られそうだ。