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2007年05月21日(月) 10時00分

ペッパーランチ社長の成り上がり人生日刊ゲンダイ

 大阪・ミナミのステーキチェーン店「ペッパーランチ心斎橋店」で、店長とアルバイトの男が食事中の女性客を脅迫して拉致し、強姦した事件——。
 前代未聞の凶悪犯罪に「ペッパーランチ」を展開している「ペッパーフードサービス」(本社・東京)の一瀬邦夫社長(63)は16日夜に謝罪会見を行った。しかし、世間の見方は厳しく、17日の同社の株価は一時ストップ安となった。
「一瀬氏は一代でコックから上場企業の社長にまで“成り上がった”名物社長。経済誌にも立志伝が取り上げられました」(経済ジャーナリスト)
 一瀬氏は43年、静岡県生まれ。60年に日の出学園高校を卒業後にコックを目指して上京。浅草の食堂「キッチン・ナポリ」の出前持ちからスタートして、東京・赤坂の山王ホテルのレストランで9年間コックとして勤務。70年に独立して、墨田区向島で6坪12席の洋食屋「キッチンくに」をオープンさせた。
 妻と2人で切り盛りする店は大繁盛。36歳で4階建ての自社ビルを持ち、浅草周辺で4店舗の直営店を経営するまでになった。
 会社が急成長を遂げるのは94年に低価格ステーキ店「ペッパーランチ」を考案して、フランチャイズ化を展開してからだ。今では国内194店舗、韓国やオーストラリアにも出店している。売上高は63億円(06年12月期)。

「現場上がりの叩き上げで親分肌。06年9月にマザーズに上場した時は泣きじゃくったそうです。典型的なワンマン社長で、求人募集のポスターには社長の顔写真入りで“私が面接します”と書いてある。苦労人だけに人を見る目にかけては自信も自負もあったのでしょう。ですが、今回事件を起こした店長も一瀬氏が面接して採用した人物。ワンマン体制が仇となったのかもしれません。謝罪会見の時も黄色い派手なネクタイを締めていましたが、社内で注意する人はいなかったのでしょうか」(経済誌記者)
 一瀬氏はかつて雑誌のインタビューで「ピンチの後には必ずチャンスが来る。ピンチが来なければ良くならない。悪い状況を嘆いても仕方ない。それをバネにすればいい」と語っていた。
 創業以来の大ピンチをどう乗り切るのか。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070521-00000016-gen-ent