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2007年05月20日(日) 03時04分

<銃規制>政府が新制度検討 組員の銃所持、組長に課徴金毎日新聞

 相次ぐ発砲事件を受け、政府は暴力団組員が銃を所持した場合に組長などに課徴金を課したり、銃器情報提供者に懸賞金を給付するなど、銃の流通防止を図る新制度の検討を始めた。全国警察の拳銃押収量が減る一方で、暴力団関係者の所有が潜在化しているとの批判に応える措置。銃刀法の罰則強化も検討する。
 長崎市長銃撃事件(4月17日)や東京都町田市の発砲立てこもり事件(同20日)、今回の愛知県長久手町の事件は、それぞれ暴力団幹部、組員、元組員が引き起こすなど、発砲、銃器事件には暴力団がかかわることが多い。
 このため、銃器を所持する組員が所属する暴力団組長に使用者責任を問い、行政上の制裁として、課徴金の支払いを組長や組に課すことを検討する。こうした課徴金は現行では、談合などの独占禁止法違反やインサイダー取引など証券取引法違反に課せられている。
 また、捜査機関による銃器の摘発を支援するため、麻薬を探知する麻薬犬のように銃器のある場所を探る銃器対策犬の育成や銃器の隠し場所などの情報に対して懸賞金を出し情報を集める制度も検討する。
 さらに、現行の銃刀法では、拳銃などの所持について1年以上10年以下の懲役を科し、罰金刑は定めていない。政府は、同法の罰則に罰金刑を加えることや懲役の量刑をさらに重くできるか意見調整を進める。
 警察庁によると、昨年の拳銃の押収数は458丁(前年比6・3%減)で95年の1880丁をピークに減少。同庁は国内に出回る銃器が減少しているのではなく、密輸による銃器の流入が続く一方で、暴力団などの隠匿方法が巧妙化し、発見、押収が困難になっているとみている。
 政府は既に、警察庁など関係省庁の課長らで構成する「銃器対策の更なる施策検討のためのプロジェクトチーム」を発足させており、同チームで具体的な施策を検討し、7月上旬をめどに結論をまとめる予定。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070520-00000008-mai-soci