記事登録
2007年05月20日(日) 08時00分

林道談合 緑資源機構が丸投げ指示 立件へ捜査態勢強化産経新聞

 農林水産省所管の独立行政法人「緑資源機構」の官製談合事件で、同機構が、談合により林道業務の受注が決まっていた民間コンサルタント会社に対し、別の業者にこの業務を「丸投げ」するよう指示していたことが、関係者の話で分かった。機構と関係の深い公益法人の丸投げは明らかになっているが、機構が丸投げを指示していたことが判明したのは初めて。丸投げを禁止している機構自らが丸投げに積極関与していたことで、談合に対する機構の主導性と悪質性が鮮明になった。

 東京地検特捜部は、週明けから他地検の検事を加えるなどして捜査態勢を増強。公正取引委員会も独占禁止法違反(不当な取引制限)罪での刑事告発に向けて詰めの調査を進めている。特捜部は近く公取委からの刑事告発を受け、独禁法違反容疑で本格捜査に乗り出す方針を固めたもようだ。

 関係者によると、機構本部の発注担当者は平成17年4月、林道関連業務の入札前に、落札が決まっていたコンサル会社に対し、「この業務は本当は別の業者の仕事だ」などと丸投げを指示。同社は受注後、約2000万円の受注額のうち3割程度をマージンとして受け取り、指示された業者に丸投げしたという。

 同社関係者は「機構から丸投げを指示されたのはこの1件だけでなく、この数年で数件あった」と証言したうえで、「機構の本当の意図は不明だが、『あなたの会社はそれなりに受注しているから、ほかに譲れ』という意図もあったのだろう。業者は従うしかない」と話している。

 公取委と特捜部は談合の全容解明のため、業務の丸投げや下請けについても機構や公益法人、民間業者の幹部らから任意聴取を進めている。

 丸投げをめぐっては、財団法人「森公弘済会」が緑資源機構から受注した林道の測量・調査業務の大半を民間業者に丸投げしていたことがすでに判明している。同弘済会の常勤役職員17人のうち16人が機構と林野庁からの天下りで、機構との関係が深く、機構は同弘済会の丸投げを黙認していたとされる。

 機構は遅くとも独立行政法人化された15年10月に、「一括再委託(丸投げ)の禁止」を内規で定めている。さらに発注業務を業者と契約した際の契約書にも丸投げ禁止を明記している。

 緑資源機構の話「機構が業者に丸投げを指示していたという話は初めて聞く。実際にあったかは分からない」

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070520-00000006-san-soci