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2007年05月17日(木) 08時02分

iPod、著作権料を1年半未払い 2.5億円以上朝日新聞

 携帯音楽プレーヤー「iPod」にインターネットから楽曲を取り込んで聴くサービスで、米アップル社が日本音楽著作権協会(JASRAC)に対して著作権使用料を支払っていないことがわかった。05年8月の日本でのサービス開始以降、未払い額は少なくとも2.5億円に達する。JASRACはアップルに対して改善を要求しているが、作曲家らは今のところ「iPod」ブームの恩恵にあずかれていない。

ネット配信にともなう著作権使用料の推移

 アップルのサービスは、ネット上のサイト「iTunesストア」から楽曲をダウンロードし、iPodで聴くもの。利用者は1曲あたり150〜200円でダウンロードするが、うち7.7%にあたる約11〜16円は使用料としてJASRACがアップルから徴収し、著作権者に配分する仕組みだ。

 アップル側からは当初、iTunesストアで購入された曲目やダウンロード回数、作詞家、作曲家を記した「明細表」がJASRACに提出されるはずだった。しかし、JASRACが要求した資料の形式ではないため使用料を確定できず、いまだに今年3月末までの1年8カ月分の著作権使用料を請求できずにいるという。アップル側が提出した資料には、たとえば「花」など曲名は同じだが歌手や作詞作曲家が異なる楽曲が混在し、分配のための区別ができない例もあったという。

 JASRACと米アップルは暫定的に05年8月から06年8月までの使用料について、2.5億円と見積もり、権利処理を急いでいるという。アップルジャパンは「詳細がわからずコメントできない」としている。

 98年に6000億円を超えたCDやカセットテープなどの生産額は、昨年には4000億円にまで縮小。一方で、ネット音楽配信は534億円で一昨年より5割以上も増えた。

 JASRACが16日発表した06年度の事業報告によると、ネット配信にともなう著作権使用料は携帯電話の着信メロディーの半減などが響き、前年度の92億円から76億円へと減少したが、音楽配信は12億円から21億円へと7割増になった。

http://www.asahi.com/business/update/0516/TKY200705160369.html