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2007年05月17日(木) 17時38分

「あらゆる事態想定」海自艦派遣で防衛相 辺野古崎調査朝日新聞

 米軍普天間飛行場移設先の沖縄県名護市辺野古崎で始まった環境現況調査(事前調査)に関連して、海上自衛隊の掃海母艦「ぶんご」が出港した問題について、久間防衛相は17日の参院外交防衛委員会で、派遣は反対派による阻止行動があっても調査できるようにする狙いであることを明らかにし、ぶんごが直接、現況調査にかかわる可能性も認めた。

 防衛施設庁が行っている普天間移設関連事業に自衛隊が関与するのは異例だ。普天間移設に絡んで、昨年9月には逮捕者も出ており、今回の動きも国が移設を強行しようとするものだとして、地元から反発が出ることが予想される。

 民主党の白真勲氏の質問に答えた。久間氏は、「かつての調査で混乱、妨害があった。あらゆる事態が想定されるから、万全の態勢をとっている」と述べ、派遣を公式に認めた。ぶんごが直接、現況調査にかかわる可能性については「ないとは言い切れない。委託している民間業者が調査できればいいが、拘束されるとか、調査ができないとかいうことになってはいけない。調査が可能な状態にどうやったら持っていけるか念頭に置いている」と語った。

 さらに、民間業者に代わってぶんごの隊員が調査を行うことについても、「否定するわけではない」と述べ、その可能性を示唆した。

 防衛省によると、海上自衛隊呉基地(広島県)所属の「ぶんご」は11日午前、沖縄近海に向けて海自横須賀基地(神奈川県)を出港した。複数の潜水士が乗船しているといい、防衛施設庁が民間業者に委託したサンゴの産卵調査機器の設置に協力するとみられる。

 普天間飛行場は元々、名護市辺野古沖に移す計画だった。だが、那覇防衛施設局が海底のボーリング調査を行おうとしたところ、反対派らがカヌーなどを繰り出し、海上での阻止行動を展開。事業は滞り、日米は05年10月に新たな移設先として辺野古崎を選んだ。

 昨年9月には、移設に先立つ文化財調査を巡って公務執行妨害容疑で平和団体の共同代表が逮捕された。移設を巡る初めての逮捕で、反対派は「今回は国に、強行しようという姿勢が目立つ」と受け止めている。

http://www.asahi.com/politics/update/0517/SEB200705170009.html