記事登録
2007年05月15日(火) 13時53分

5月15日付 よみうり寸評読売新聞

 スペイン・アルタミラの洞窟(どうくつ)の壁画に、はちみつの採取風景が描かれている。日本でも養蜂(ようほう)の記事が日本書紀にある。百済(くだら)から大和へ到来し、初めは、神への供物や薬用だった◆はちみつは大昔からの天然の甘味。レンゲ、ミカン、クローバ、アカシアなど、はちがみつを集める花によって色や香りが違う。単なる甘みを超えた風味が愛されてきた◆その天然の味に人工甘味料を混入した商品の横行が発覚した。しかも、そのインチキをチェックする組織「全国はちみつ公正取引協議会」がこの25年間も混入の疑いを把握しても、十分な調査をしなかった◆異性化糖(でんぷんなどを原料とする人工甘味料)の含有をチェックする定期検査で陽性反応が出ても文書で警告、注意を出すだけだった◆「純粋はちみつ」と偽り、信頼のあかし「公正マーク」を付けた商品もあった。協議会は加盟業者の会費で運営、事務局長は代々、公取委OB。〈はちみつはチェックも甘い〉ではしゃれにもならない◆営々とみつを集める働きばちと、〈純粋〉で勝負する業者が怒っている。

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20070515ig05.htm