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2007年05月12日(土) 21時45分

<国際振り込め詐欺>会社に架空取引や投資話…昨年から急増毎日新聞

 アフリカやアジアなど海外の会社をかたって日本の会社に電子メールなどで架空の取引や投資を持ちかけ、指定した口座に送金をさせる「国際振り込め詐欺」ともいえる犯罪が昨年急増、3年前の約4倍に上り今年はさらにハイペースで増えていることが、日本貿易振興機構(ジェトロ)のまとめで分かった。海外実情に不慣れな中小企業や個人経営主が主な標的で、犯行グループに日本人が関与するケースが多く、ジェトロが注意を呼びかけている。
 ジェトロによると、相談は04年まで年間20件余だったが、05年は49件。06年は79件と増加し、うち20件は実際に被害があった。今年は4カ月ですでに40件を超えているという。取引の発信場所は、02〜06年はアフリカが61%を占めたが、05年からタイや中国が新たに加わった。
 手口は、(1)政府や公社の肩書を名乗り送金口座の開設を求める(2)初対面で好条件の取引を持ち出す——などで、送金後に連絡が途絶える事例がほとんど。中国地方の介護用設備メーカーは、タイ在住という日本人から「公的な病院にまとまった台数が売れることになった」と連絡があり、タイのホテルで口利き料として数百万円を渡した。帰国後も口座開設の手数料を求められ、商品の出荷を見送った。
 昨年秋からは、アフリカ・トーゴの事例が多発。関東—中国地方の中古車販売会社に数百台買い付けたいとの連絡がメールなどであり、会社側が前金を要求すると、「外貨獲得ができない」などと拒否。今度は「インターネットカフェの増加でパソコンの普及が進んでいる。フラッシュメモリーを送ってくれ」との申し出が6件あり、うち1件ではフラッシュメモリーの現物(数十万円相当)を送り、だまし取られたという。ジェトロ貿易投資相談センター(03・3582・5171)では「被害金の返還は実際には難しく、知らない会社や人物からのメールによる取引の打診や、不審な場合は相談を」と話している。【清水直樹】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070512-00000107-mai-soci