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2007年05月12日(土) 08時01分

世銀総裁 中東に燃えた恋 交際相手はアラブ民主化の闘士産経新聞

 【ワシントン=渡辺浩生】世界銀行のウォルフォウィッツ総裁の女性厚遇問題で、沈黙を守る交際相手のアラブ系世銀職員シャハ・リザさん(52)の素顔が、明らかになりつつある。中東の女性解放運動に長期間にわたって従事し、イラク新政府の樹立支援にも関与。総裁とは中東民主化の理想を共有する同志だったようだ。

 10日付米紙ワシントン・ポストによると、リザさんはサウジアラビア生まれのリビア育ち。英オックスフォード大などで学び、アラビア語、トルコ語など5つの言語を話す。米国のシンクタンク勤務などを経て、1997年に世銀に入行した。

 ウォルフォウィッツ氏との出会いは90年代の米国民民主主義基金勤務時代。基金は、レーガン政権時に他国の民主化支援を目的に設立され、ウォルフォウィッツ氏も理事会メンバーに名を連ねていた。リザさんは「中東での民主主義普及に当時からとても熱心だった」(職員)とされ、フセイン政権からの亡命者を支援するイラク財団にも在籍した。

 2人の関係については、リザさんがトルコ系の夫と離婚し、ウォルフォウィッツ氏も妻と別居してからデートを重ねたといい、時期は「99年以降」(同紙)とみられる。

 世銀でも、中東地域の広報で、アラブ人権派女性という特異な経歴を生かしたリザさんだが、03年3月のイラク戦争開戦後は1カ月休暇をとり、バグダッドで新政府の樹立支援に参加した。英紙フィナンシャル・タイムズが入手した国防総省の文書によると、ウォルフォウィッツ氏がリザさんの人選にかかわったという。

 05年、恋人がトップに就任すると、国務省に出向を余儀なくされ、その後は関連財団に移籍した。自らのキャリアが乱されることに強い抵抗感があり、差別されたとの感情すら抱いたようだ。

 「単に私が女性だからでなく、イスラム教徒のアラブ女性だから」。ワシントン・ポストによると、リザさんは先月、世銀倫理委員会の聴聞でこう訴えたという。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070512-00000006-san-int