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2007年05月11日(金) 15時10分

<後見人詐欺>元行政書士 長男の事故死で加害者の組員と毎日新聞

 成年後見制度に絡んだ詐欺事件で逮捕された元行政書士の山本成男容疑者(46)が、元指定暴力団松葉会系組員、神林正一容疑者(46)と知り合ったきっかけについて、「自分の長男の死亡事故で加害者の暴力団組員と交渉したことが契機」などと警視庁に供述していることが分かった。この事故では損害賠償訴訟を起こすなど暴力団に立ち向かってきたが、逆に元組員とともに詐欺に手を染めることになった。
 山本容疑者が小学4年の長男を亡くしたのは、97年4月。茨城県古河市の自宅近くで車にはねられた。運転していたのは、暴力団国粋会系の組員。警察の調べで、事故の主因は「長男の飛び出し」とされ、組員は不起訴処分になった。
 2カ月後、この組員が覚せい剤取締法違反(使用)で現行犯逮捕されたため、山本容疑者は長男の事故も「覚せい剤を打って運転していたのでは」と検察審査会に不起訴不当を申し立て、同審査会も「不当」と議決した=再捜査で不起訴。また、組員らを相手取り、約5600万円の損害賠償を求めて提訴。1審で覚せい剤の影響を認めた判決を勝ち取る=2審で和解=など、事故の真相を追及した。
 こうした交渉などで組事務所に出入りするようになったと言い、和解が成立した後も、組関係者から行政書士としての仕事を受けることもあった。一方、神林容疑者は、松葉会系の組を91年に破門された後、長男の事故の加害者となった男が所属する組と近い関係にあった。山本容疑者と神林容疑者が知り合ったのは、この組が開いた「襲名披露」だったという。
 山本容疑者は03年6月には神林容疑者に頼まれ、同容疑者が実質経営するリフォーム会社社長に就任した。逮捕容疑となった詐欺事件の被害者の94歳女性は、神林容疑者がリフォームの営業で探し出し、山本容疑者が任意後見契約を結んで、財産を奪ったとみられる。
 以前の山本容疑者を知る人は「わが子を思う気持ちに、うそはなかったはず。交渉で組織に出入りするうち、ミイラ取りがミイラになってしまったのか」と肩を落とした。【石丸整、大迫麻記子】

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070511-00000066-mai-soci