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2007年05月10日(木) 20時58分

米核燃工場で昨春高濃縮ウラン漏れ、臨界事故の危険も読売新聞

 【ワシントン=増満浩志】米南東部のテネシー州にある核燃料工場で昨年3月、高濃縮ウラン溶液の漏出事故が発生していたことが、官報に掲載された原子力規制委員会(NRC)の報告で明らかになった。

 溶液が1か所にたまれば、核分裂反応が連続して制御できなくなる「臨界事故」の恐れもある量だった。

 AP通信などによると、工場は原子力潜水艦などの核燃料を製造しており、NRCは「同時テロ後、操業についての詳細は非公開としている」と説明。事故の数か月後に行った国際原子力機関(IAEA)への報告では施設名を伏せ、米国内では14か月間も公表されなかった。

 事故は昨年3月6日、同州アーウィンのニュークリア・フュエル・サービス社で起きた。溶液約35リットルが、まず作業用の密閉容器(グローブボックス)内へ、さらに床へと漏れ出した。事故前に行った溶液排出などの作業後、再密閉が不完全だったのが原因。報告は「臨界に至れば、少なくとも作業員1人が致死量の放射線を被曝(ひばく)していた」としている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070510-00000113-yom-soci