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2007年05月09日(水) 08時00分

人事院、天下り違反で告発も 元金融庁局長、保振取締役兼任で産経新聞

 金融庁OBで日本証券業協会の増井喜一郎副会長が、国家公務員法で定められた人事院の承認を受けずに株式会社「証券保管振替機構」(保振)の社外取締役に就任していた問題で、金融庁と人事院が同法違反容疑での刑事告発も視野に事実関係の調査に乗り出したことが8日、分かった。人事院が再就職(天下り)承認制度違反で調査を行うのは極めて異例だ。

 増井氏は平成17年8月、金融庁総務企画局長を退官し、同年9月に日証協役員に就任。昨年6月からは保振の社外取締役にも就いていた。日証協の役員改選に伴う役職整理の過程で違法な兼任実態が発覚、日証協が今月2日に増井氏の保振取締役辞任を発表した。

 日証協によると、増井氏は、「法律については承知していたが、(保振は)純粋な営利企業ではなく公的な性格があるので、人事院の承認は不要だと思った」と話しているという。

 国家公務員法103条は、人事院の承認なしには「離職後2年間、離職前5年間の職務と密接な関係があった民間企業には再就職できない」と規定、違反者に最高1年の懲役を科すとしている。

 人事院などは、今回のケースの悪質性や故意の有無を調べているが、増井氏が法律を把握した上で社外取締役に就任していることから「違法は違法として、告発も検討せざるをえない」(政府関係者)としている。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070509-00000000-san-pol