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2007年05月04日(金) 03時00分

独禁法課徴金対象、不当廉売なども…官房長官の私的懇報告読売新聞

 独占禁止法の見直しを議論している「独占禁止法基本問題懇談会」(塩崎官房長官の私的懇談会)が、6月末にまとめる最終報告書の概要が3日、明らかになった。

 課徴金の対象となる違反をこれまでのカルテルなどに限らず、不当廉売など「不公正な取引方法」で自由な競争を制限する行為にまで広げることを盛り込む。

 報告書を受けて公正取引委員会は独禁法改正案を取りまとめ、来年の通常国会への提出を目指すが、対象拡大には反対論も強く、与党や経済界などを巻き込んだ議論となりそうだ。

 現在の独禁法では、複数の会社が価格を共同で取り決めるカルテルや、入札の受注者を業者間で決める談合などの「不当な取引制限」を行った企業に対し、行政処分である課徴金納付を命じることができる。

 しかし、費用を大きく下回る安値で販売する不当廉売や取引上の優位な立場を利用して押し付け販売する「優越的地位の濫用(らんよう)」など「不公正な取引方法」によって競争を制限する行為は課徴金の対象外だった。

 懇談会では「不当廉売などによる違反行為が増加傾向にある」として、消費者の利益を守る上で、課徴金の対象を拡大する必要があるとの意見が大勢を占めた。

 課徴金の対象拡大について、経済界には「企業の事業活動を委縮させる恐れがある」と反対が強い。法案化に向けては内閣法制局のチェックや与党の議論を経る必要があり、不公正な取引が直ちに課徴金を科すべき悪質行為になるのかどうかなどを巡り、今後、様々な意見が出ることも予想される。

 さらに、報告書には刑事罰である罰金と課徴金を現在のまま併存させることも盛り込まれる方向だ。日本経団連は「違反企業は刑事罰である罰金と課徴金の二重処罰を受けており、憲法違反の疑いがぬぐえない」として、法人への刑事罰を廃止して課徴金に一本化するよう求めていただけに反発は必至だ。

http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20070504it01.htm?from=top