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2007年04月17日(火) 02時42分

「9・11」8カ月前に警告 仏、米に「乗っ取りある」朝日新聞

 9・11米テロの8カ月前にあたる01年1月、国際テロ組織アルカイダによる航空機を使ったテロ計画を仏当局が米中央情報局(CIA)に伝えていたと、仏ルモンド紙が16日報じた。仏当局がアルカイダ内の人物から入手した情報。しかし、米国側はこの時ほとんど反応しなかったという。

 同紙は、テロ組織の捜査を担う対外治安総局(DGSE)が01年1月5日付で作成した「イスラム過激派による航空機乗っ取り計画」と題する国防機密文書の内容を、文書のコピーとともに掲載した。アルカイダ内に潜入したウズベキスタン人から得た情報に基づくという。

 文書は「アルカイダが乗っ取り計画を準備している」と指摘。テロ発生前年の00年初頭、アルカイダを率いるビンラディン容疑者とチェチェンのイスラム過激派勢力がアフガニスタンのカブールで会合を持ち、実際に9・11テロで使われたユナイテッド航空、アメリカン航空を含む米仏独の7航空会社を標的とすることなどを協議した、と伝えた。実行日や実行者などについては合意に達しなかったという。

 この際想定されていた計画は(1)フランクフルト—米国間の航空機を乗っ取り、イランまたはアフガン南部カンダハルに着陸させる(2)フランクフルト—中央アジア間の航空機を乗っ取り、タジキスタンまたはカブールに着陸させる、の2種類。実際に起きたテロとは手法や場所が異なる。乗っ取りの目的も「政治犯の釈放」「チェチェンからのロシア軍の撤退」を要求するため、と規定していた。

 内容は間もなく、パリのCIA代表を通じて米国側に知らされた。ただ、米CIAでアルカイダを担当した元幹部2人はこの文書について覚えていないと、同紙の取材に答えたという。

http://www.asahi.com/international/update/0417/TKY200704160332.html