今回の議題の中心は、サウジのアブドラ国王が皇太子だった02年に提唱した「中東包括和平構想」の再提案だ。最近、中東歴訪を重ねたライス米国務長官も関心を寄せる同構想を、アラブ諸国が足並みをそろえて再提案し、国連にも手助けを求めることにしている。
事前の協議では、この構想を国連に提案することをめぐり、シリアが一時難色を示した。「アラブの手を離れて欧米に利用される」との主張だったが、サウジは「(欧米による)構想の勝手な変更は認めない」と公約して折り合いをつけた。
シリアとサウジの近年の摩擦の発端はレバノン問題だ。サウジと友好関係があったハリリ元レバノン首相が05年に暗殺された事件について、サウジは「背後にシリアがいる」と強く批判。昨年夏のレバノン危機でも、シーア派武装組織ヒズボラを支援するシリアを、サウジは公然と非難した。
サウジにしてみれば、現在のアラブ世界の最大の脅威はイスラム教シーア派の大国イラン。各国のシーア派支援を通じて覇権拡大に動いているとされるイランと接近するシリアは、アラブの身内の中で苦々しい存在だ。
だが、27日までの外相協議で、今回はレバノン問題に深く踏み込まないことで決着した。ホスト国サウジがアラブの結束を重視して、シリアに和解の手をさしのべた格好だ。27日にリヤド入りしたシリアのアサド大統領は、サウジの王族の宮殿でもてなされたという。
サウジは会議に先立つ2月、抗争に陥っていたパレスチナの両組織ファタハとハマスの代表を聖地メッカに招き、統一内閣づくりの合意を実現させた。イスラエルの生存権を固く認めないハマスにも、和平構想には反対しないと約束をさせた。